逃げ場のない赤字、あるいはJTへの恨み節
日経平均株価が542円も値下がりした。画面越しに、投資家たちの悲鳴がデジタルな音階となって聞こえてくるようだ。二度あることは三度ある。この格言が投資の世界でこれほど忌々しく響くことはない。
せっかくポートフォリオに迎え入れたJT株も、私の期待を裏切り、入社初日から遅刻してきた新人並みに即座にマイナスを叩き出している。やっぱり買わなきゃよかった。タバコの煙のように、私の含み益が空へ消えていくのをただ眺めている。しかし、市場の変動はまだ、計算の範囲内だと言えなくもない。
市場よりも不気味な「深夜の怪奇現象」
さて、投資とは一ミリも関係ないが、最近、私のプライベートという名の非上場市場に、極めて質の悪いノイズが混入している。困っているのと、気持ち悪いのと、怖いのと。もはや負の三冠王である。
結論から言えば、一年前に損切りしたはずの元同僚(という名の先輩)から、電話がかかってくるのだ。それも深夜2時。丑三つ時。全人類がレム睡眠の底に沈んでいるべき時間に、である。
私は深夜にスマホのバイブ音で叩き起こされる、一人の哀れな被害者だ。
削除済みの番号から届く、期限切れの情熱
電話の主は、在籍中から酒の勢いという名の最低なレバレッジをかけてセクハラまがいの言動を繰り返していた男だ。役職という名のプロテクトを盾に、周囲の無関心を追い風にして、私に限らずあらゆる女性を困らせる「全方位型不良債権」のような存在だった。
私は仕事仲間に友情という名の無配当株を期待しない主義なので、彼が辞めた瞬間にその番号をゴミ箱へ直行させた。しかし、向こうのリストには、私の番号がゾンビのように生き残っているらしい。深夜2時に元部下に電話をかけるという凄まじい判断ミス。その思考回路のショート具合に、彼の人生のチャートを心配したくなるが、それ以上に私の睡眠不足という名の機会損失が甚だしい。
着信拒否という強硬手段に出る勇気すら、今の私には余計なトランザクション手数料のように感じられて、ただただ精神が削られていく。今日はもう、日経平均のチャートも深夜の着信音もすべてシャットアウトして、深い眠りという名のセーフヘイブンへ避難することにする。