会社員という「鎧」を脱ぎ捨てる前に、私にはどうしてもやっておかねばならない儀式があった。
それは、社会的信用という名の期間限定パスを使い、投資口座を開設することだ。
外は刺すような猛暑、室内は北極のような冷房。
その極端な温度差に身を浸しながら、私は自分の投資心理が期待と猜疑心の間で激しく揺れ動くのを感じていた。
合理性を気取りつつも、将来への不安を埋めるための衝動に突き動かされていた――自虐的に滑稽だったあの頃の自分を、2026年の冷徹な視点で振り返る。
目次
- 2018年の私:現金比率60%という停滞の言い訳
- なぜ退職前に金融インフラを死守するのか
- 選んだ戦場だったソーシャルレンディング:大手の安心神話に騙された話
- 2026年から見た、崩壊の軌跡とmaneoに残る38,883円(実体験)
- 退職前の死守チェックリスト(失敗から学んだ鉄則)
- 結論:投資は愛ではなく冷徹な計算で
- 関連記事(内部リンク)
2018年の私:現金比率60%という停滞の言い訳
当時の私のポートフォリオを確認すると、現金比率が60%に達していた。市場に資金を晒すリスクを回避していると言えば聞こえはいいが、単に資金が遊んでいる状態とも言える。
当時の資産構成は以下の通りだ。
- 現金: 60%
- 投資信託: 8%
- 株式(米国ETF含む): 31%
- ソーシャルレンディング: 1%
米国ETFという強固な土台に支えられていると強弁しつつ、一方でトランプ政権による米朝首脳会談中止のニュースに右往左往し、110円を割ったドルに円高の恐怖を感じていた。無職という崖っぷちを前にして、合理的判断という名の楽観主義が私を支配していたのだ。
なぜ退職前に金融インフラを死守するのか
無職・退職後、証券口座やクレジットカードの新規開設・審査は極端に厳しくなる。社会的信用は使えるうちに使い切る有限資源だ。以下を優先順位高く整備せよ。
- 証券口座・つみたてNISA/iDeCoの開設:SBI証券や楽天証券など大手で。無職だと審査落ちリスク大。今すぐ行動を。後回しは致命的だ。
- クレジットカード複数枚作成:信用力があるうちに。決済・ポイント基盤を固める。
- 銀行口座整理:ネット銀行中心に。海外送金対応も視野に。
- 住宅ローン・借入の完済・見直し:借金は信用の換金だ。身軽になる前に済ませよ。
これを怠ると、後で自由の代償が重くのしかかる。
選んだ戦場だったソーシャルレンディング:大手の安心神話に騙された話
当時、二大巨頭とされたSBIソーシャルレンディングとmaneoに飛び込んだ。高利回り(5〜10%超)に目が眩み、大手だから安心と思考停止していた。
ソーシャルレンディングの本質:
- 高利回り:魅力的な餌。
- 鋭い棘:貸倒リスク、流動性ゼロ、運営不備。
- 実態:国内でも元本毀損・不正案件が頻発し得る。
大手の安心神話に愛着を持つと冷静な判断を失う。
2026年から見た、崩壊の軌跡とmaneoに残る38,883円(実体験)
| 業者名 | その後の動向(2026年現在) |
| maneo(マネオ) | 2018年行政処分、多額延滞を経て2021年破産手続。延滞額126億円超、回収難航。現在はサービス停止状態。 |
| SBIソーシャルレンディング | 2021年行政処分、業務停止命令を経て事業撤退。2022年にバンカーズへ承継されたが、SBIブランドは終了。 |
大手看板も絶対ではない。大手の安心神話こそ最大のリスクだ。

私の口座には、今も38,883円という数字が刻まれている。
ポートフォリオ全体から見れば0.1%という微々たる存在感だが、これはかつてのソーシャルレンディングブームに踊らされた若さゆえの過ちの残骸であり、もはや換金すらできない。
私の投資判断ミスという名の墓標が、2026年現在もそのまま鎮座している——これは実体験だ。
退職前の死守チェックリスト(失敗から学んだ鉄則)
- 証券口座開設:今すぐ。退職後は不可になることが多い。
- クレカ・銀行:信用審査通過のうちに複数確保。
- 借入完済:身軽さが自由の鍵だ。
- ポートフォリオ設計:感情排除、低コスト投資信託、ETFのNISA優先で。
- 投資方針:高利回り誘惑に負けず、計算と分散で。
現在の私は、低コスト投資信託、ETFを中心にシフトした。冷徹にデータを見て判断する方が、結果的に資産形成に有利だった。
結論:投資は愛ではなく冷徹な計算で
業者への愛着は毒だ。サービス愛着を投資判断から切り離せ。
冷徹さで選べば、損失回避と資産形成の道が開ける。
> 投資は自己責任。元本保証なし。個別相談はせず、一般情報として読んでくれ。
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