期待値で鯨になる

米国株・ETF・投資信託で資産を育てる合理主義投資ブログ。低コストという名の餌で巨大な鯨へ育てる観測日記。

新NISA設定、禿げ上がる前の王道回帰

新NISA戦略の白紙撤回:毛根とパランティア、どちらの寿命が長いのか

新NISA。考えに考え抜き、これこそが最適解だと信じて設定したはずの陣容を、直前になってすべて白紙に戻した。すまない。結局のところ私は、最も安全で、最も退屈で、しかし最も堅実な王道という名の砂利道へ、半泣きで引き返すことにしたのだ。

1. 眠れぬ夜の元凶:メガ10という暴れ馬

昨年末、意気揚々とニッセイ・S米国グロース株式メガ10インデックスファンドを設定して以来、私の夜は一変した。眠れぬ夜はメガのせいならぬ、まさにこのメガ10のせいで、枕元には日ごとに抜け毛が散らばる。鏡を見るたびに、私の毛根とパランティア、果たしてどちらの寿命が長いのか、と自問自答する日々。暗闇でスマホのバックライトに照らされる私の顔は、もはや投資家ではなく、ただの不審者そのものだった。

2. 15年という歳月の重みと、濡れたティッシュの握力

一番の懸念は、あまりにシンプルで残酷な問いだった。私はこのメガ10という暴れ馬を、15年間も握り続けられるのか?

15年。それは単なる数字ではない。我が子が大学進学という名の、人生最大級のイベントを完遂するまでのカウントダウンだ。その勝負の年に、もしテックバブルが弾けていたら? 自分のNISA枠という聖域が、見るも無残な焼け野原になっていたら?

運用するのは、独身時代に血と汗、あるいは不毛な残業と引き換えに蓄えた、かつての自由の結晶である。家族の共有財産ではない、私個人の歴史が詰まったこの資金。設定した瞬間こそ、新時代の波に乗るぞ!と鼻息も荒かったが、いざ暴落の深淵を想像してみると、私の握力は濡れたティッシュペーパー程度の強度しかないことが判明した。

3. 結論:99%の降伏と、1%の往生際の悪さ

涙とともにその手を放してしまう未来が、あまりに鮮明に予見できてしまった。結局、逆張りは私には合わない。合理的であることを自負しながら、その実、私は自分の心の脆弱さを、そして独身時代の貯金を失うことへの恐怖を、完全に見誤っていたらしい。

だから、やめた。……いや、正確にはほぼやめた。では、一体何にその貴重な枠を捧げることにしたのか。結論は、NISA枠の99%をeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に投入することにした。

結局そうなるのかよ!という自分自身のツッコミが、夜中の静かなリビングに虚しく響く。あれほど悩み、チャートを分析し、メガ10の将来性に賭けようとした時間は一体何だったのか。王道という名の巨大な客船に尻尾を振って乗り込む自分の姿を、我ながら滑稽で、どこか愛おしくも思う。

4. 精神衛生のための合理的保険:ゴールドとS&P500

だが、私の往生際の悪さはここからだ。あえて100%王道にはせず、残り1%の枠—1年間にして約36,000円分だけは、メガ10(ニッセイ・S米国グロース株式メガ10インデックスファンド)の積立を死守した。これは私のプライドであり、かつての野心の残り火だ。360万円を託す握力はないが、3万6千円なら、もし崖から落ちそうになっても、まあ、これくらいなら落ちてもいいかと思える。実に卑怯で、実に合理的なリスク分散ではないか。

さらにそれとは別に、特定口座でSBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)を毎日300円ずつ購入することにした。有事の金。それを為替の荒波に晒しながら、毎日コンビニでラテを一杯我慢するような感覚でコツコツ積み上げていく。

結局、私は世界最強の500社という大船に身を任せ、自分はただ我が子の磨き残した奥歯と格闘し、おにぎりを握る日常に戻ることにしたのだ。暴落が来ても、まあ、アメリカが滅びるなら全人類道連れだし(笑)と責任を世界に転嫁できる。これは、私の精神衛生を守るための、極めて合理的な保険である。

禿げ上がる前にこの決断ができたことを、今は良しとしよう。今夜からは、少なくともメガ10が谷底へ消えていく悪夢を見ずに、深い眠りにつけそうだ。