世の中は往々にして残酷だ。
私は最近、手元で遊んでいるドルの最も合理的な居場所を探して、夜な夜なシミュレーションを繰り返していた。条件は極めてシンプル、かつ強欲だ。
- 信託報酬は極限まで安く(0.01%の無駄も許さない)
- 配当金という名の税金コストを最小限に抑え(0.5%以下が理想)
- それでいてVOO(S&P 500)を超える成長性を手に入れる
この冷徹なまでの合理主義の果てに、私は一つの聖杯に辿り着いた。それが、SCHG(シュワブ・米国大型成長株ETF)だ。
1. なぜSCHGこそが正解だったのか
VOO(S&P 500)は、時価総額加重平均という現代資本主義が生んだ最高傑作の一つだ。私も資産の7割近くをそこに預けている。でも、VOOには弱点がある。配当が出てしまうことだ。
約1.3%の配当が出るたびに、米国と日本で税金を毟り取られる。複利の魔法を自ら解いてしまうような、この静かな暴落に私は耐えられなかった。
一方、SCHGはどうか。信託報酬は驚異の0.04%。配当利回りは0.4%〜0.5%程度。中身はNVIDIAやMicrosoftといった、世界を支配するエリートたちの濃縮還元だ。
さらにシミュレーションを重ねて、私は絶句した。この銘柄、攻めが強いだけではない。守りまで優秀なのだ。天下のバンガード社が誇る成長株ETF VUGと比較しても、暴落時の下落率は低く、それでいて底からの回復はVUGより早い。
攻めてよし、守ってよし、コストよし、税金よし。完璧すぎて、もはや怖いくらいだ。私は確信した。これだ。これこそが私のドルの終着駅だ。意気揚々と証券口座の購入ボタンを押そうとした、その時までは。
2. 突きつけられた、買えないという現実
まずSBIや楽天を調べた。全滅だ。ならばと、最近勢いのあるmoomoo証券なら……と淡い期待を抱いた。彼らなら、この合理的な名盤を扱っているはずだと。結果は、お取り扱いしておりません。
どうやら日本の証券システムというものは、私のようなブランド名よりも実利を、知名度よりも0.01%の効率を求めるはぐれ投資家には、まだ優しくないらしい。
VUGより頑丈で、VUGより足が速いという最高の馬を見つけたのに、そもそもその馬券を売っている窓口がこの国には存在しないのだ。私の理想は日本に住んでいるというただ一点の理由で、物理的に遮断されてしまった。
3. 結局、私たちはどこへ行くのか
最強のETFを知っているのに、それを買えずにVOOを眺めている。この状況、控えめに言って最高にシニカルだと思わないかい?
私は最高に性能の良いエンジンの図面を持っているのに、入れるガソリンスタンドが見つからない。結局、7割のVOOという安パイの白米を噛み締めながら、たまにSCHGが買えていればなぁと、毒にも薬にもならない自虐をスパイスにするしかないのだ。
さて、次に私がすべきことは何だろう。買えないものに執着するのは非合理だと言い聞かせ、大人しくVOOに買い増しをするか。投資の神様がいるのなら、ぜひ教えてほしい。正解を知っているのに選べない私への、一番正しい笑い方を。