期待値で鯨になる

米国株・ETF・投資信託で資産を育てる合理主義投資ブログ。低コストという名の餌で巨大な鯨へ育てる観測日記。

解散疑惑からの円安

「選択肢のひとつ」という名の生殺しを、私は冷めた目で見つめている

ふと思う。首相の「選択肢のひとつ」という言葉、あれは魔法の杖か何かか。その一言がリークされただけで、1月23日の通常国会召集がまるで決戦の日のように扱われ始めた。まだ誰も招待状を受け取っていないのに、会場では勝手にシャンパンが抜かれ、市場という名の狂った観客が、まだ始まってもいないパーティーに全財産を賭けている。

160円という数字に踊る、救いようのない喜劇

円安がまた進んでいる。一時は落ち着いたふりをしておきながら、気づけば160円を指差して笑う輩たちが、予言者気取りでタイムラインを埋め尽くしている。

157.9円。それは私にとって、経済指標というよりは今月もさらにチーズが小さくなるという生活苦のカウントダウンでしかない。

独身時代の名残である個人口座の中だけは、外の世界に呼応して奇妙な光を放っている。円にすると180万円ほどあるドルを来週、円に換えて、束の間の円安の恩恵という名の幻に酔いしれるべきか。それとも、さらに高みの160円を待って、より深い絶望と共に換金するべきか。家計の苦しさとは全く別の地平で、200万という数字が突きつけるこの重たい悩み。これ自体、今の私にはあまりに贅沢で、そして皮肉な「選択肢」に思えてくる。

打ち上がる株価、地を這う日常

マーケットでは選挙は買いだなんてお祭り騒ぎが続いている。土曜の夜だというのに、日経225先物は現物終値から1,650円も跳ね上がっている。週明けには、週末の間に世界が勝手にワープした後の、眩しすぎる景色を見せられることになる。

  • 三菱重工 (7011):防衛予算という燃料を注ぎ込まれて、株価は成層圏まで飛んでいく勢いだ。彼らが最新鋭の迎撃ミサイルを開発している間に、私はスーパーで定価の鶏肉を敵軍と見なして、いかに安く仕留めるかの防衛策に余念がない。国を守る前に、私の冷蔵庫の防衛ラインが突破されそうだ。
  • 東京電力HD (9501):原発再稼働への期待で、チャートは眩しいほどに輝いている。株価が明るくなるのは勝手だが、私の家の照明は節電のためにどんどん暗くなっていく。画面の中の東電が元気になればなるほど、現実の利用者が疲弊していく。これ、一体誰のための光なのだろう。
  • 東京エレクトロン (8035):半導体は産業のコメらしいけれど、投資家たちがそのコメを奪い合って株価を吊り上げている横で、私は本物のコメの価格に震えている。AIが私の生活を便利にする前に、AIが私の何も変わらない残高を分析して、憐れみの言葉をかけてくる日が先に来るのではないか。

結局、私は何におそれているのか

正式な発表はない。あるのは「かもしれない」という幻影だけだ。この正式発表がないという不透明な状態こそが、一番の贅沢なのかもしれない。だって、本当に解散が決まってしまえば、あとは現実という名の残酷な答え合わせが始まるだけなのだから。

160円の大台を超えて、誰かが日本経済の復活だと叫ぶ。その時、私は相変わらず何も変わらない財布を握りしめて、「ああ、やっぱりね」と自虐的な笑いを浮かべているはずだ。

その笑いが、少しでも優しく、少しでも毒が抜けたものであることを、今のうちに自分に願っておこう。

とりあえず、160円になって輸入チーズが金塊並みの価格になる前に、今のうちに少しだけ贅沢をしておくことにしよう。それもまた、私に残された唯一の、そして最も賢明な選択肢のひとつなのだから。