米国12月CPIは前年比2.70%。予想も2.70%。前回も2.70%だ。
三連単である。
これほど整然と並ぶ数字を、私はかつて見ただろうか。パチスロの当たり台か、あるいは我が子たちが床に並べたトミカの列くらいしか思い浮かばない。
市場予想と完全一致した今回のCPI。ニュースは「インフレ鈍化」「安心感」という言葉を並べる。しかし2.7%は、FRBの物価目標2%をまだ上回っている。勝利ではない。ただの停滞だ。
2.7%という巡航速度
この2.7%という凪は、健全な経済の鼓動というより、過度な刺激を避けながら巡航する心拍数に近い。
利下げを待つマーケットという依存症患者に対し、FRBは絶妙な量の鎮静剤を投与している。
まだ利下げは早い。
しかし締めすぎれば景気は崩れる。
致死量でもなく、禁断症状でもない。その均衡点が2.70%という数字なのだ。
予想一致が生む市場の安心感
サプライズはなかった。だが「何も起きなかった」という事実こそが市場に安心感を与える。
米国株は無風を好む。予想一致という結果は、過度なボラティリティを生まないからだ。
インフレは沈静化しきっていない。
利下げも確約されていない。
それでも株式市場は、爆発を回避したエンジンのように滑らかに回り続ける。実に合理的で、吐き気がするほど冷静だ。
2.70%という静寂の正体
結局、最大の熱狂は何も起きないことから生まれる。
2.7%という数字は、安全でも危険でもない。ただ、動かない。爆弾のタイマーが2.7秒で止まったままの時計を、人々は安堵して眺めている。
さて、この静寂のなかで私のポートフォリオは増えるのか。それとも横ばいのまま、洗濯物だけが積み上がるのか。
米国CPIという経済指標は、数字の顔をしているが、その裏では常に心理が動いている。今回の2.70%は、暴走でも崩壊でもない。ただの巡航速度だ。
そして巡航は、ときに墜落よりも不気味である。