先日、私は爽やかな目覚めと共にスマホを開き、そして静かに目を閉じた。
画面に広がっていたのは、見渡す限りの緑。目に優しい森林浴のような緑ではない、マイナス表示が並ぶ私の米国株ポートフォリオだ。
不惑を超えてなお、朝一番に絶望で震えることになるとは。自虐的な笑いが漏れる。犯人は、はるか北の島、グリーンランドを欲しがっているあの男だった。
S&P500に99%全振りした鉄壁(のはず)の布陣
私の投資戦略は、自分なりに合理的だと思っていた。
新NISA枠をフル活用し、信じられるのはアメリカの成長のみと言わんばかりに、資産の99%をS&P500指数に投入。残りの1%をメガ10(米国主要テック株)に託すという、攻撃力に全振りした布陣である。
そして、そんな無謀な自分へのせめてもの良心として、毎日300円の金(ゴールド)積み立てを行っている。コンビニのスイーツを一つ我慢して積み上げたこの守りの300円が、今、暴落するポートフォリオの中で唯一の希望の光となっているのだ。
トランプ関税とグリーンランド買収の衝撃
トランプ大統領が「グリーンランドを買いたい」と言い出した時、私は「また不動産王のご冗談を」と鼻で笑っていた。
だが、彼は本気だった。欧州への関税爆弾という、強引な地上げ屋のような手口で攻めてきたのだ。
これぞトランプ・トレードの真骨頂というわけか。
おかげで、私のS&P500はグリーンランドの氷山のように溶け出し、資産は冷たい北極海へと沈んでいった。地球温暖化による海面上昇より先に、私の純資産が溶けて消えるとは、計算高いはずの私にとっても完全に想定外だった。
毎日300円の金(ゴールド)投資が示すリスクヘッジの真髄
ふと見れば、安全資産である金(ゴールド)は史上最高値を更新している。
米国株の大暴落という巨大な嵐の中で、私の毎日300円が、まるで小舟のように、しかし力強く波間に浮かんでいる。
この数万円にも満たない金の含み益で、数百万円規模の米国株の含み損を補填しようとする健気な姿。その圧倒的なスケール感の差に、自分でも少しだけ優しい笑いがこみ上げてきた。これこそが、投資という人生のスパイスなのだろう。
明日には、私のポートフォリオに少しでも日光が差し込み、含み損が再結晶化することを祈っている。
さもなければ、私もグリーンランドに移住して、文明を捨てて暮らすしかない。もっとも、あちらの物価が関税のせいでハイパーインフレを起こしていないことを願うばかりだが。
