期待値で鯨になる

米国株・ETF・投資信託で資産を育てる合理主義投資ブログ。低コストという名の餌で巨大な鯨へ育てる観測日記。

車上荒らしに遭った夜、私はパチスロ吉宗に並んだ|期待値を履き違えた20代の冬【実体験】

パチスロ吉宗の液晶画面と期待値の思い出

人生の期待値を計算し間違えると、人はここまで狂えるらしい。

今からX年前、2004年の冬。当時20代歳の私は、友人の家に転がり込み、スノーボードとパチンコに全精力を注いでいた。貯金はあったが、社会的な期待値は間違いなく設定1以下。そんな時期の話である。

 

深夜2時の車上荒らしと、パチスロ吉宗増台イベントへの特攻

その日は、当時絶大な人気を誇った「吉宗」の増台イベントだった。期待値を追うために深夜2時に家を出た私を待っていたのは、無残に鍵穴(シリンダー)が抜き取られた愛車の姿だった。

一瞬で理解した。車上荒らしだ。8万円したカーオーディオと、警察無線検知器が消えていた。極寒の夜中、警察を呼び、1時間半の現場検証。普通ならショックで膝から崩れ落ちるところだが、私の脳は別の計算を始めていた。

「後部座席にある16万のスノボ板は無傷だ。なら、まだ戦える」

ストック切れの絶望。盗まれた8万円を取り戻すための期待値計算

警察が去った後、私はそのまま凍える寒空の下、パチンコ屋の行列に並んだ。鍵のかからない車を放置して、だ。今思えば、完全にバグっている。若さと執着が、合理性を食い破っていた。

ようやく確保した吉宗のシマ。だが、そこには地獄が待っていた。ビッグ確定演出が出るも、出てきたのはバケ(レギュラー)の連打だ。

そう、新台初日、ストックは空だった。吉宗は内部でボーナスをストックしなければビッグを放出しない。ストック確率は約1/240。この確率を自力で引かなければ、どんな確定演出が出ようがバケに書き換えられる(バケすらない場合も)。本来、ここで打ち続けるのは愚策の極みだ。

執念の8万ツッパで16万回収。被害を相殺した狂気の1日

盗られた分は、今日ここで作る。
その一心で、私は自力でストックを貯めるためにぶん回した。まさに狂気の沙汰だ。最終的な投資額は、盗まれたオーディオ代と同じ8万円。

だが、私の執念が勝った。自力でストックをねじ込み、そこから一気に放出。結果、16万円の回収。差引プラス8万円。数字の上では、盗難被害をその日のうちに相殺してやったわけだ。

資産4000万への原点。あの日の狂気

22年経ち、資産4000万を築いた今の私から見れば、当時の行動は期待値マイナスの極みだ。睡眠、健康、防犯リスク……すべてを天秤にかければ、プラス8万程度では到底割に合わない。

スロットで1日で稼ぐ額なんて、今の株の動きに比べれば我が子の鼻くそ程度だ。結局のところ、ただよだれを垂らして呼吸をしていただけの時間(睡眠時間)こそが、最も利益を生んでくれる事実に気づくのはもっと先の話だ。

だが、この私の狂気こそが、リーマンショックの暴落も4000万という奇妙な余裕も支えているのは間違いない。失った時間は戻らないが、あの時自力でストックを貯めて出したという事実だけが、今の私の歪んだ自信になっている。

ちなみに、この日私の横に座っていた男性は、現在の夫である。