金融業界では、純金融資産が3000万円を超えるとアッパーマス層という、いかにも上位互換のような名前で呼ばれる。
4000万という大台に乗り、いよいよ5000万(準富裕層)の背中が見えてきた……と感慨にふけっていた私の脳内に、一つの冷徹な事実が浮かび上がった。
「あれ、住宅ローン引いたら、私ただのマス層どころか、底辺じゃね?」
アッパーマスの不都合な真実
アッパーマス層の基準は、あくまで純金融資産だ。資産合計から負債を引いた残高のことを指す。
私には今、3500万という住宅ローンが残りまくっている。
4000万(資産)- 3500万(借金)= 500万。
これが私の真実 of 真実だ。アッパーマスどころか、投資を始めたばかりの初心者と変わらない純資産500万。銀行から借りた金でアッパーのフリをしているだけというこの虚しさ。これが私の合理主義の限界か。
アッパーマス層です(ただし3500万の借金を除く)なんて、もはやスタイル抜群です(ただし15cmの厚底靴込み)と言っているようなものだ。結局は借金というレバレッジで自分を大きく見せているに過ぎないのかもしれない。
確信犯的な借金生活の合理性
だが、ここで一括返済しないのが合理主義者の意地だ。
私の住宅ローン金利は現在0.75%。対して、この4000万を市場に放り込めば、期待値としてはそれを遥かに上回る。
しかも、国が13年間も税金をまけてやるから借金しろと住宅ローン控除を差し出してきている。この状況で律儀に3500万を返すなんて、カンニングが公式に許可されている試験で、あえて教科書を閉じて自力で解こうとするくらい、救いようのないクソ真面目な振る舞いだ。制度が、この答えを写して得をしろ、とカンニングペーパーを差し出しているのに、自学自習の精神を気取って不合格になるほど私はお行儀よくない。
銀行から0.75%で借りた金でそれ以上のリターンを狙い、さらに国から還付金までせしめる。側から見れば3500万の借金を背負った無職という人生詰んでいるような崖っぷちだが、その裏で私は、この歪な制度の隙間でニヤリと笑っている。
それでも、4000万を運用する景色は違う
自虐はこれくらいにして、冷静に考えよう。純資産が500万だろうがなんだろうが、完済して手元に500万しか残らないのと、4000万を運用し続けるのとでは見える景色が全く違う。
- 複利の破壊力:4000万を年利5%で回せば、理論上は年間200万。0.75%の利息など軽く飲み込む。
- 無職 of 特権:いざとなれば一括返済できるキャッシュが今ここにあるからこそ、この不穏な自由が許される。
偽物のアッパーマス層だろうがなんだろうが、この歪んだ自信を支えているのは、ローンを差し引いた後の端金ではない。現に私の口座で、銀行と国を出し抜きながら明滅している4000万という数字そのものだ。