
日経平均が史上最高値を更新し、株高を叫ぶ狂乱の2026年。私の資産画面の中で、まるで時間が止まったかのように、もしくは死んだ魚のような目で私を見つめ返してくる銘柄がある。
日本通信界の巨人、NTT(日本電信電話)だ。
私が保有するわずか500株(評価額にして約7万7千円)は、市場の上げ潮を完全に無視し、現在もマイナス200円という、あまりにも可愛らしく、そして情けない含み損を刻んでいる。なぜこの巨人は、これほどまでに腰が重いのか。その理由を冷静に分析してみた。
- 1. 5分割の影響|発行済株式数増加でNTT株は動きにくい
- 2. 政府保有株の売却リスクが株価の天井に
- 3. OWNの将来性と、短期投資家との時間軸のズレ
- 4. NTT株は配当株として割り切るべきか
- 5.NTT株が上がらない主な理由まとめ
1. 5分割の影響|発行済株式数増加でNTT株は動きにくい
2023年に行われた1株を25株に割るという暴挙。これにより、NTT株は中高生のお小遣いでも買えるほどに買いやすくなった。
投資の門戸を広げたといえば聞こえはいいが、代償はあまりにも大きかった。
現在の発行済株式数は約905億株。もはや天文学的な数字だ。
数千万株単位の買いが入ったところで、この巨大なタンカーは1ミリも動かない。1円上げるために必要なエネルギーが他とは桁違いなのだ。私のような零細投資家が上がれと念じたところで、大海原に小石を投げ入れるのと同義だ。
2. 政府保有株の売却リスクが株価の天井に
NTT株の最大の不幸は、日本政府が筆頭株主であることだ。政府は防衛費増額の財源として、この株を売却しようと常に虎視眈々と狙っている。市場からすれば、いつ政府という巨大な売り手が頭上から降ってくるかわからない状況だ。
「大家さんが物件を売りに出そうとしている」状態で、わざわざ全力で買い上がる奇特な投資家はいない。常に数メートル上に政府による売却という巨大な天井が見えている。これが上値を無慈悲に押さえつけているのだ。
3. OWNの将来性と、短期投資家との時間軸のズレ
NTTが社運を賭けて進める光通信基盤IOWN。電力効率を100倍にし、遅延を1/200に削減にするという夢のような技術だ。だが、問題はその時間軸にある。
今の市場が求めているのは来期の爆益であり今すぐ稼げるAIだ。10年後に花開くかもしれないインフラ投資に、せっかちな投資家たちは付き合ってくれない。彼らにとってNTTは成長株ではなく、ただの安定した配当金製造機に過ぎないのだ。
4. NTT株は配当株として割り切るべきか
結局のところ、NTT株は投資というよりは貯金の延長に近い。潰れはしないが、跳ねもしない。現在の含み損200円は、この銘柄がいかに市場の狂乱から切り離されているかの証左だ。
爆益を狙う余力もなく、かといって全てを失う勇気もない私にとって、1円の変動に一喜一憂できるNTTは、身の丈に合った合理的な敗北なのかもしれない。日経平均がどれだけ上がろうとも、私はこの岩がいつか100円値上がりする日を、待ち続けることにする。
5.NTT株が上がらない主な理由まとめ
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25分割で発行済株式数が約905億株に増加
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政府が大株主で売却リスクが常に存在
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IOWNは長期テーマで短期材料になりにくい
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成長株ではなく高配当安定株として評価されている