
2ヶ月前、私はこのブログで「FANG+に居場所を確保したと思った瞬間が最も危うい」と書いた。マイクロン(MU)の採用を伝えながら、次の除外候補として名指しするような、我ながら性格の悪い締め方だった。
あれから2ヶ月が経った。マイクロン(MU)の株価は採用時の315ドル前後から971ドル(2026年5月29日終値、時間外936ドル〈6月1日〉)まで上がった。約3.1倍だ。トランプ大統領がマイクロンを名指しで絶賛するというよくわからないボーナスイベントまで発生した。
正しかったら格好よかったのだが、盛大に外れた。しかも27株しか持っていないので、外れ方がセコい。大外れしておいて恩恵も軽微という、どこまでも中途半端な2ヶ月間だった。
ジンクスが外れたのか、それとも外れていないのか。
- 採用後2ヶ月のMU株価推移と何が株価を動かしたか
- Q2・Q3決算の中身とFANG+への影響
- 27株しか持っていない私の含み益と、iFreeNEXT保有者の恩恵
- 次のリバランスでMUは外れるか?
- マイクロン(MU)採用後の株価推移とは?
- MUの株価を3倍にした「HBM」という構造変化とは?
- Q2・Q3決算の数字をざっくり読む
- 27株保有の私と、iFreeNEXT FANG+保有者の2ヶ月
- 次のリバランスでマイクロン(MU)は外れるか?
- まとめ:FANG+マイクロン採用後2ヶ月の答え合わせ
マイクロン(MU)採用後の株価推移とは?
まず数字を並べる。感情は後回しだ。
| タイミング | 株価(概算) | 備考 |
|---|---|---|
| 2026年3月23日(採用日) | 約315ドル | 年初来+55%の時点 |
| 2026年5月6日 | 約667ドル | 一時史上最高値を更新 |
| 2026年5月15日 | 急落(-5.4%) | 中国H200拒否ショック |
| 2026年5月29日 | 971ドル(52週高値更新) | トランプ大統領が名指しで絶賛 |
| 2026年6月1日 | 時間外936ドル | 終値971ドルから小反落 |
採用から約2ヶ月で株価は3.1倍。「採用銘柄は売り」という投資格言を、数字が静かに踏み潰した形だ。
「採用銘柄は売り」というジンクスとは、指数への新規採用が発表された時点ですでに材料として織り込まれており、採用後は需給イベントが終わって株価が下がりやすいという経験則のこと。過去のFANG+でも採用直後に失速した銘柄が複数あった。ただし、あくまで傾向であってルールではない。マイクロンはそのルールすら無視した。
MUの株価を3倍にした「HBM」という構造変化とは?
株価が動いた理由は、単純に業績が良かったからだ。しかし今回のマイクロンには「景気循環が良かった」以上の話がある。
AI向けのHBM(高帯域幅メモリ)だ。マイクロンは2026年3月にHBM4の量産を開始しており、エヌビディアのGPUへの搭載が決まっている。HBMは通常のDRAMと比べて利益率が大幅に高く、マイクロンのQ2決算では売上総利益率が75%まで拡大した。
かつてマイクロンは「半導体サイクルに振り回されるだけのコモディティ屋」扱いだった。それが今や、AI投資の根幹を支えるインフラ銘柄として再評価されている。FANG+への採用は結果論として、この構造転換のタイミングと重なった。
「コモディティ屋」と思っていたから27株しか買わなかった。その判断が今となっては痛い。思い込みに対して相場は非常に正直な採点をしてくれる。
HBM(High Bandwidth Memory)とは、AIの学習・推論に使われる高速・大容量のメモリ規格。エヌビディアのGPUに積み重ねて搭載され、大量のデータを一気に処理できる。マイクロン・SKハイニックス・サムスンの3社が主要サプライヤーで、需要に対して供給が不足しており、価格と利益率が高止まりしている。
Q2・Q3決算の数字をざっくり読む
採用後に発表された決算が、株価上昇の根拠になっている。数字だけ整理する。
| 項目 | Q2実績 | 市場予想比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 238.6億ドル | +24%上回り(過去最高) |
| EPS | 12.20ドル | +39%上回り |
| 売上総利益率 | 75% | 前年から18ポイント上昇 |
| 前年同期比売上成長 | +196% | 4四半期連続で過去最高更新 |
Q3のガイダンスも売上335億ドル(±7.5億ドル)、EPS19.15ドルと強気な見通しが続く。次の決算発表は2026年7月1日の予定だ。
「採用時が天井」と匂わせた私の3月記事は、完全なフラグだった。予言者として最悪の出来だ。ブログに証拠が残っているのが唯一の誠実さである。
マイクロンのQ2決算(2026年2月期)では、DRAM売上が前年比+196%、売上総利益率75%と過去最高水準を記録。HBM生産能力は2026年末まで事実上完売済みとされており、サプライ側の逼迫が利益率を押し上げている構造になっている。
27株保有の私と、iFreeNEXT FANG+保有者の2ヶ月
せっかくなので、自分の話もしておく。
MUを27株持っている。内訳は643.73ドルで22株、415.62ドルで5株、平均取得単価は601.49ドルだ。5月29日時点の株価971ドルで計算すると、含み益はざっくり約9,977ドル(約155万円)になる。
平均601ドルという数字が物語っている通り、安い時にビビって買えず、上がってから買い増した典型的な経過だ。しかも27株。100株持っていれば同じ単価で約498万円の含み益だったところを、155万円に抑えた。節約上手とは言わない。単なる機会損失だ。
一方、iFreeNEXT FANG+インデックスを保有している人は、MUの急騰の恩恵を均等ウェイト(約10%分)で自動的に受けていたことになる。MUが約3.1倍になったことで、MU分だけで指数全体に約21%のプラス寄与があった計算だ。個別株で高値掴みしながら27株しか持てなかった私より、黙って積立していた人の方がよほど合理的な結果を出しているかもしれない。
均等ウェイトは定期的にリバランスされるため、MUの株価が上昇した分は自動的に一部売却されて他銘柄に振り分けられる。「MUが3倍になったから指数も3倍」という計算にはならない点に注意。あくまで基準価額への貢献として読む数字だ。
次のリバランスでマイクロン(MU)は外れるか?
FANG+は年4回(3月・6月・9月・12月)にリバランスを実施する。次は2026年6月だ。
現時点でのMUの状況は、除外される理由がほとんどない。株価は52週高値付近で推移しており、業績も強く、スコアランキングで圧倒的な上位に位置しているはずだ。
ただし、3月の記事でも書いた通り、FANG+のジンクスは「採用された銘柄への安心感」が一番危ない。現在の株価971ドルは年初から約3倍の水準であり、短期的な過熱感を指摘するアナリストもいる。日足・週足のモメンタム指標は買われすぎ圏に入っており、7月決算を前に材料出尽くしになるシナリオも十分あり得る。
次のFANG+リバランスは2026年6月(第3金曜日前後)に発表される見込み。MUの除外可能性は現時点で低いが、株価の過熱・決算後の失速・競合(SKハイニックス・サムスン)のHBM増産による価格圧力が、今後のリスク要因として残っている。
「居場所を確保したと思った瞬間が最も危うい」という前回の締め文句は、2ヶ月経っても撤回するつもりはない。ただ、そのタイミングがまだ来ていないだけだ。来た時は別の記事で静かに敗北を認める。
27株という保有数は、上がっても「よかったね」で終わり、下がっても「まあそうだよね」で終わる絶妙な量だ。感情を揺さぶらない投資とはこういうことかもしれない。狙ったわけではないが。
まとめ:FANG+マイクロン採用後2ヶ月の答え合わせ
FANG+マイクロン(MU)採用後2ヶ月まとめ
- 採用時(2026年3月23日)の株価:約315ドル → 2026年6月1日時点:971ドル・時間外936ドル(約3.1倍)
- 「採用銘柄は売り」のジンクスは今のところ完全に外れた
- Q2決算は売上238.6億ドルで市場予想を24%上回り、EPS・売上総利益率ともに過去最高
- HBM4量産開始とAI需要の構造的な拡大が、単なる景気サイクルではない上昇を演出している
- iFreeNEXT FANG+保有者はMU分だけで指数に約21%のプラス寄与を享受した計算
- 次のリバランスは2026年6月。除外可能性は低いが、7月決算と競合の増産が今後のリスク
- 「採用されたら安心」という発想が最も危ない点は変わっていない