
前回、ギガテック7の仕組みと基本スペックを解剖した際、私は設定後の運用状況を確認してから判断すると書いた。
格好良く言えば合理的な判断、本音を言えばよくわからないから先送りである。
他人の戦いぶりを高みの見物すると宣言した手前、きちんと続きを書く義務がある。
ギガテック7(たわらノーロード フォーカス 米国超大型テクノロジー7)の運用実績を確認すると、2026年5月7日時点で基準価額は12,053円に達した。
設定時の10,000円から約20.5%のプラスだ。連休明けの急騰(前日比+2.45%)が加わり、数字だけ見れば順調そのものに見える。
ただし、トランプ関税ショックの急落劇を忘れ、この上澄みだけを啜ってモメンタム最高!と喜ぶのはいささか早計だ。
そして私自身は、現時点でも購入するつもりはない。
底値で仕込み損ねた事実から目を背けたいという心理的防御機制……では断じてない、と言い切っておこう。
- 5月7日最新基準価額12,053円の背景と設定来のリアルな推移
- 実際の組み入れポートフォリオ(Alphabetへの極端な偏りとTeslaの非情なリストラ)
- モメンタム戦略は機能しているのか、現時点での冷酷な評価
- 私が「買わない」という合理的結論に至った理由
- ギガテック7の基準価額推移|設定後6週間のリターン実績を解剖する
- 実際のポートフォリオの衝撃|AlphabetとMicrosoftの格差が示すモメンタムの冷酷さ
- モメンタム戦略は機能したのか|設定来パフォーマンスの冷静な評価
- 純資産総額11億円という数字が意味すること
- FANG+との比較で見えるギガテック7の立ち位置
- ギガテック7を今から買うべき人・買わない方がいい人
- 私はギガテック7を買わない|個別株でスパイスは足りている
ギガテック7の基準価額推移|設定後6週間のリターン実績を解剖する
まずデータを整理する。ギガテック7の設定日は2026年3月25日で、基準価額は10,000円からスタートした。
| 時点 | 基準価額(概算) | 市場の動き・主な出来事 |
|---|---|---|
| 2026年3月25日(設定) | 10,000円 | 運用開始 |
| 2026年4月上旬 | 大幅下落局面 | トランプ関税発動・米国株式市場急落 |
| 2026年4月24日 | 11,677円 | 市場回復基調へ転換 |
| 2026年5月7日(最新) | 12,053円 | 連休明け急騰・日経平均も過去最大の上げ幅 |
設定直後に関税ショックでいきなり奈落に突き落とされ、そこから這い上がって現在20%超のプラスである。
モメンタム戦略がいい仕事をしたとも言えるし、設定のタイミングが単に運良くバーゲンセールの底値になったとも言える。
どちらが真実かを判断するには、データが少なすぎる。
投資の世界での6週間など、エヴァンゲリオンで言えばまだシンジ君がエントリープラグの中でうじうじしている段階だ。物語は何も始まっていない。
実際のポートフォリオの衝撃|AlphabetとMicrosoftの格差が示すモメンタムの冷酷さ
2026年3月末時点の公式データで、実際の組み入れ状況が明らかになった。
アルゴリズムが弾き出した「今の覇者」たちの顔ぶれである。
| 銘柄 | 業種 | 組入比率 |
|---|---|---|
| アルファベット(Google) | コミュニケーション・サービス | 25.0% |
| ブロードコム | 情報技術 | 20.6% |
| エヌビディア | 情報技術 | 18.0% |
| アップル | 情報技術 | 14.6% |
| メタ・プラットフォームズ | コミュニケーション・サービス | 10.6% |
| アマゾン・ドット・コム | 一般消費財・サービス | 7.2% |
| マイクロソフト | 情報技術 | 4.1% |
ここで二つの事実が目を引く。
一つ目は、Teslaが除外され、代わりにBroadcomが堂々の2位に君臨しているという点だ。
M7(マグニフィセント・セブン)を連想させるファンド名でありながら、株価が低迷しているTeslaは容赦なく足切りに遭っている。
名前負けという概念をファンドの仕様で体現する潔さだ。
二つ目は、Alphabet(25.0%)とMicrosoft(4.1%)の比率差が6倍以上という点だ。
均等配分なら14%前後になるところを、モメンタムに基づいて極端な傾斜配分を行っている。
かつて仕様書と格闘していた元ITエンジニアの端くれとしては、AIインフラを支えるBroadcomやNVIDIAの高配分には深く頷けるものがある。
しかし、一時期はAIブームの絶対的覇者だったはずのMicrosoftをここまで冷遇するとは。
モメンタム戦略には、過去の栄光に対する感傷など1ミリも存在しないらしい。
半導体・インフラソフトウェアの巨大企業。AI向け半導体需要の波に乗り株価が急上昇、時価総額でTeslaを抜き去った。ナスダック上場・テクノロジー関連という条件をクリアし、ギガテック7の組み入れ対象となっている。
モメンタム戦略は機能したのか|設定来パフォーマンスの冷静な評価
結論から言うと、設定から6週間ではモメンタム戦略が正しかったとも、たまたま市場全体が回復しただけとも判断できない。
4月の関税ショックは米国テック株全体を直撃した局面であり、集中型ファンドであるギガテック7が市場平均より大きく下振れるリスクは当初から危惧していた通りだ。
回復局面でAlphabetやNVIDIAへの高配分が追い風になった可能性は高い。
しかし、それが戦略の選球眼によるものか、たまたまその銘柄群が反発しただけなのかは、今のところチェンソーマンで最初の悪魔が出た瞬間に最終回を予想するようなもので、難易度が高すぎる。
- 運用期間が約6週間しかない。モメンタム戦略の真価は数年単位で判断すべきである
- 関税ショックという強烈なノイズを含むため、通常相場でのパフォーマンス評価としては不適格だ
- 月次リバランスの実績が蓄積されていないため、戦略自体の有効性はまだ「評価不能」とするのが妥当だ
純資産総額11億円という数字が意味すること
4月24日時点で純資産総額は約11億2,000万円。
設定からわずか1ヶ月で11億円を集めたのは、滑り出しとしては悪くない。
投資信託にとって純資産総額は生存そのものだ。
運用コストは固定費的な性格を持つため、規模が小さいファンドは常に繰上償還リスクと隣り合わせになる。
おおむね30〜50億円以上が安定的な運用継続の目安とされる。
現状の11億円は決して安全圏ではないが、パフォーマンスが話題になり認知度が上がっていけば、問題ないラインに乗れる可能性は十分にある。
FANG+との比較で見えるギガテック7の立ち位置
前回の記事で比較した「FANG+」との関係について、実際のポートフォリオが出たことで明確になったことがある。
FANG+は10銘柄均等配分(四半期リバランス)という、ある意味でおおらかな構造だ。
対するギガテック7は7銘柄のモメンタム配分(月次リバランス)という、神経質で機動的なアプローチをとる。
設定直後の現在、両者の組み入れ銘柄は相当程度重複している。
しかし今後、市場環境が激変し、FANG+が固定銘柄の呪縛に苦しむ局面が来れば、ギガテック7の機動性が圧倒的な差を生む可能性はある。
逆に言えば、その頻繁なリバランスが裏目に出て、ただ往復ビンタを食らうリスクも同程度に存在する。
| 比較項目 | ギガテック7 | FANG+ |
|---|---|---|
| 銘柄固定 | なし(時価総額で無慈悲に入替) | あり(10銘柄固定) |
| 配分方法 | モメンタム(極端な偏りあり) | 均等(10%ずつ平和に) |
| リバランス頻度 | 月次(忙しい) | 四半期(のんびり) |
| 信託報酬 | 0.77% | 約0.7755% |
| 積立NISA対応 | × | × |
コストはほぼ互角だ。機動性への信頼をとるか、均等配分の安心感をとるか。最終的には投資家の趣味の問題に帰着する。
ギガテック7を今から買うべき人・買わない方がいい人
6週間の運用実績を踏まえた上で、改めてこのファンドの適性を整理する。
- サテライト枠として、総資産の5〜10%程度のポジションで割り切って遊べる人
- 米国テックセクターへの一極集中リスクを骨の髄まで理解し、許容できる人
- 月次リバランスの実績が積み上がるまで、短期のノイズを無視して長期保有する胆力がある人
- 設定来リターン20%超という数字を見て「乗り遅れた!早く買わなきゃ!」と焦っている人。その焦りこそが市場の養分になる危険シグナルだ
- コア資産として長期積立に使いたい人。その用途なら黙ってNASDAQ100やS&P500のインデックスを買う方が合理的だ
- 純資産総額の低さや日々の値動きが気になって夜眠れなくなる人。その精神エネルギーは、睡眠や庭の草むしりに使った方がよほど人生のQOLが上がる
私はギガテック7を買わない|個別株でスパイスは足りている
前回は様子見と書いたが、正直に言おう。
私はこれを買わない。
理由は極めてシンプルだ。私のポートフォリオには、エヌビディア(NVDA)やマイクロン(MU)、そしてブロードコム(AVGO)といった劇薬が、既に個別株として組み込まれている。
つまり、ギガテック7の上位組み入れ銘柄とほぼ同じ成分を、私はすでに直接保有しているわけだ。
そこにわざわざ0.77%の信託報酬を支払って、手持ちの成分をファンドというオブラートに包み直して飲み込む意味がない。
二重に持つのは分散でもなく、ただのカロリーの重複だ。
私の投資のメインディッシュはあくまでS&P500だ。
そこに効かせるテック系の刺激は、個別株というスパイスで十分に事足りている。
これ以上ファンドの数を増やすのは、冷蔵庫に食材があるのに、わざわざ高いお惣菜を買ってくるようなものだ。
皿をやたらと増やせば、洗い物と管理の手間が増えるだけである。
もし将来、個別株の決算を追いかけるのが面倒になり、すべてをお任せパックにしたくなった時には、このファンドへの乗り換えという選択肢はあり得る。
ただ、それは今日の話ではない。いつか整理すると言い続けて何年も経っている我が家の物置の断捨離と同じ匂いがするのは、きっと気のせいだ。
- ギガテック7の基準価額は?:2026年5月7日時点で12,053円。設定来リターン約+20.5%。
- 実際の組み入れ銘柄は?:Alphabetが25%・Broadcomが20.6%。Teslaは無慈悲に除外され、Microsoftは4.1%に縮小。モメンタム戦略に過去の栄光への情けは無用。
- 純資産総額は?:約11億円。安定運用の目安は30〜50億円。生き残りをかけた戦いはまだ道半ば。
- モメンタム戦略は機能しているか?:現時点では評価不能。6週間のデータで判断するのは、コインを1回投げて表が出たと喜ぶようなものだ。
- 今から買うべき?:サテライト枠で5〜10%の遊び金なら検討の余地あり。焦りを燃料にして飛び乗ることだけは避けるべきだ。
出典:アセットマネジメントOne公式ファンド通信(2026年4月21日)・Yahoo!ファイナンス・マネックス証券ファンド詳細ページより
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