
前回の記事では、設定前の期待と、主に私の妄想に近い懸念を整理した。酸っぱい葡萄を眺めるキツネのように静観を決め込んでいた私だが、設定から3ヶ月が経過し、ギガテック7の化けの皮というか実態がそれなりに見えてきた。
ギガテック7の評判は?Tesla不在・純資産17億円の実態【2026年6月】
設定2日目にして早くも基準価額が1万円を割り込み、トランプ関税ショックという名の洗礼で奈落に突き落とされ、5月には手のひらを返したように設定来高値12,630円をつけ、6月にまた息切れして11,374円。このジェットコースターのような3ヶ月の運用実績を踏まえ、そろそろ本題を切り出すとしよう。
ギガテック7とFANG+、結局どちらが我々の財布を潤してくれるのか。
資産のほぼすべてをインデックスという名の巨大な沼に突っ込み、手元の現金が綺麗に枯渇している私が、なぜここまでFANG+との比較に熱を上げているのか。理由は単純だ。テック系集中ファンドという劇薬を検討する投資家が、必ず一度は頭を抱える壁だからである。最新データ、ケース別シミュレーション、そして多くの人が見ないふりをする月次リバランスの隠れコストまで、合理主義の皮をかぶった冷徹な視点で整理していく。
- ギガテック7の最新データ(2026年6月25日時点)
- ギガテック7とFANG+の違いは?7項目で比較
- 月次モメンタム戦略の強みと弱みとは?
- 月次リバランスの隠れコスト問題
- ケース別シミュレーション:NVDA急落・横ばい・一方向上昇
- 結局どちらを選ぶべきか
- S&P500信者の私が下す、2026年6月時点の結論
ギガテック7の最新データ(2026年6月25日時点)
まずは現実という名の冷水を頭から浴びる時間だ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | たわらノーロード フォーカス 米国超大型テクノロジー7 |
| 愛称 | ギガテック7 |
| 設定日 | 2026年3月25日 |
| 基準価額(6月25日時点) | 11,374円 |
| 設定来高値 | 12,630円(2026年5月15日) |
| 純資産総額 | 17.65億円(6月25日時点) |
| 設定来リターン | +13.7%(分配金なし) |
| 信託報酬(税込) | 年0.77% |
| 為替ヘッジ | なし |
| NISA成長投資枠 | 対応 |
5月に最高値12,630円をつけてドヤ顔をしていたのも束の間、6月に入ると綺麗に失速した。現在は高値から約9.9%ほど綺麗に削られた水準にある。設定来リターンは+13.7%と辛うじて面目を保っているが、5月の熱狂がまるで幻だったかのような静けさだ。相場の世界はいつも移り気が早い。
繰上償還ラインという名の時限爆弾
目論見書を真面目に読むと、純資産総額が30億円を下回る場合に繰上償還する可能性があるとひっそり明記されている。現在の純資産は最大だった5月末でも19.47億円。つまり、設定以来一度も30億円の壁を超えたことがない。いくら中身が魅力的でも、器が壊れては元も子もない。資金流入のトレンドは、購入前に祈るような気持ちで確認すべき数字だ。
ギガテック7とFANG+の違いは?7項目で比較
ギガテック7は月次モメンタムで比率を変える調子の良い奴に媚びを売る攻撃型。対するFANG+は10銘柄を均等に愛する平等主義の分散型だ。設計思想の根底がまるで異なる。
| 比較項目 | ギガテック7 | FANG+(iFreeNEXT FANG+等) |
|---|---|---|
| 銘柄数 | 最大7銘柄(気分で変動あり) | 10銘柄 |
| 銘柄の顔ぶれ | ナスダック時価総額上位7(Teslaはお留守、Broadcomが居座る) | GAFAM+Netflix・Broadcomなどの愉快な仲間たち |
| ウェイト決定方法 | モメンタム分析による動的配分(勝ち馬に乗る) | 均等配分(各10%の厳格な平等) |
| リバランス頻度 | 月次(毎月お祭り) | 四半期(季節ごとにお掃除) |
| 信託報酬(税込) | 年0.77% | 年0.7755% |
| 為替ヘッジ | なし | あり・なし両タイプ完備 |
| NISA成長投資枠 | 対応 | 対応 |
| 運用実績 | 2026年3月設定(まだ生後3ヶ月の赤ちゃん) | 2018年設定(8年超の修羅場をくぐったベテラン) |
表向きの信託報酬はほぼ互角だが、毎月バタバタと中身を入れ替えるギガテック7のほうが、裏での摩耗コストが高くなるのは火を見るより明らかである。
FANG+の最新のドタバタ劇についてはFANG+にマイクロン(MU)は入っている?2026年3月採用の経緯と構成銘柄を整理するで詳しく解説している。
月次モメンタム戦略の強みと弱みとは?
ギガテック7がFANG+に対して唯一、そして最大のドヤ顔で主張できるアイデンティティが、この月次モメンタム戦略である。
月次モメンタム戦略とは、裏で何をしているのか
身も蓋もない言い方をすれば、今一番ノッている奴に全賭けし、落ち目の奴は容赦なく切り捨てるという、きわめて資本主義的なシステムだ。M7というエリート集団の中で毎月格付けチェックを行い、資金を配分し直す。身内で弱肉強食のデスゲームを毎月繰り広げているようなものだ。
2026年5月末のデータを見ると、Alphabet(23.5%)、Broadcom(20.2%)、NVIDIA(17.8%)が我が世の春を謳歌する一方、あのMicrosoftが4.0%にまで押し込まれている。この戦略に過去の栄光への情けなど1ミリも存在しない。実に冷酷で、それゆえに合理的だ。
FANG+の四半期リバランスとの本質的な違い
FANG+の均等配分・四半期リバランスは、特定の銘柄が暴れ回って歪んだウェイトを、定期的に平らに押しならす思想だ。上がったものを売り、下がったものを買い増すという、どこかシンパシーのような優しさがある。対してギガテック7の月次モメンタムは、均すどころか勝ち馬の背中にさらに重りを載せる完全な順張りだ。
トレンドが一方向に突き進むお祭り相場では、この狂気的な思想が圧倒的な爆発力を生む。リバランスが月次であるため、時代の変化を察知するスピードもFANG+より3ヶ月早いという計算になる。理屈の上では、だが。
モメンタム戦略の弱み:感情ではなく、アルゴに焼かれる恐怖
しかし、ここには投資家を真顔にさせる重大な落とし穴がある。モメンタム戦略はトレンドが続く限り無双するが、トレンドが急反転した瞬間、高値掴みの名手として、買い増したばかりの天井銘柄と一緒に仲良く心中することになる。
恐ろしいのは、これが人間のパニックではなく、プログラムされたアルゴリズムによって血も涙もなく執行される点だ。急落の初動が起きたとしても、次のリバランス日までは指をくわえて眺めるしかない。5月の高値から6月にかけての失速は、この構造的な弱点が引き起こした小さな予告編のようにも見える。
月次リバランスの隠れコスト問題
一般的なキラキラした解説記事では綺麗にスルーされるが、ここがファンドを理解して買うか、雰囲気で雰囲気を買うかの分水嶺となる。
毎月の機動的なリバランスは、タダでは手に入らない。売買コストという見えないシロアリが、毎月確実に資産を齧っているのだ。具体的には以下の3点に集約される。
- 売買手数料の発生:比率を毎月こねくり回すたびに、裏では実際の株式売買が発生する。この際のスプレッドや手数料は、表面上の信託報酬0.77%には含まれていない。
- トラッキングエラーの拡大:ジタバタと動けば動くほど、目指すべきベンチマークの指数から基準価額がズレていく。大人しく座っているFANG+に比べ、ギガテック7のほうがこの迷子率が高くなるのは構造的な宿命だ。
- 実質コストの恐怖:運用報告書に記載される実質コストの蓋を開けたら、売買コストのせいで信託報酬の原型を留めていない、というのはアクティブ運用の世界ではよくある話だ。設定から3ヶ月の現時点では運用報告書が存在しないため、この実質コストは依然としてブラックボックスの中に隠されている。
同じ0.77%近辺だからと安心して選んだギガテック7が、実は大食いでお金がかかる子だった、というオチは十分にあり得る。モメンタム戦略が叩き出すリターンが、このシロアリの食害を上回るかどうか、現時点で断言できる人間は預言者だけだ。
ケース別シミュレーション:NVDA急落・横ばい・一方向上昇
どちらが優れているかという不毛な議論に終止符を打つため、相場環境ごとに彼らがどう動くかを可視化してみよう。以下は私の脳内で行われた概念的なシミュレーションだ。
ケース① NVIDIAが1ヶ月で急落-20%した場合
| 比較項目 | ギガテック7(モメンタム) | FANG+(均等配分) |
|---|---|---|
| 急落前のNVDAウェイト | 20〜30%(調子が良いので限界まで盛られている) | 10%(誰がなんと言おうと10%) |
| ファンドへのダメージ | −4〜6%程度(直撃を食らう) | −2%程度(かすり傷で済む) |
| 次のリバランスまでの対応 | 月次のため、最大1ヶ月間は被弾したまま耐える | 四半期のため、最大3ヶ月間はそのまま放置 |
| 判定 | FANG+の圧勝(被害を最小限に抑える) | |
ケース② テック株が横ばい・ボックス相場が続いた場合
| 比較項目 | ギガテック7(モメンタム) | FANG+(均等配分) |
|---|---|---|
| モメンタムの挙動 | 方向感がなく、アルゴリズムが右往左往して迷走する | 最初から均等なので、誰がサボっても影響が少ない |
| 売買コストの影響 | 毎月不毛な入れ替えを行い、コストだけを垂れ流す | 3ヶ月に1回、静かに部屋の掃除をする程度 |
| 判定 | FANG+の勝利(ギガテック7は自滅コスト負け) | |
ケース③ M7銘柄が一方向に強く上昇し続けた場合
ギガテック7は、勝ち組の背中にさらに現金を積み増すため、上昇トレンドへの追従力が極限まで高まる。一方、FANG+はせっかく上がった銘柄を四半期ごとに利益確定して他のダメな子に配分するため、上昇の波に乗り遅れる。
3つのケースから導かれる冷徹な結論:ギガテック7は、テック株が一方向にどこまでも昇天していく相場にのみ特化した、非常に尖った、悪く言えば一発屋の兵器だ。それ以外の普通の相場や調整局面では、FANG+のほうが構造的に遥かに安定しやすい。
結局どちらを選ぶべきか
FANG+が向いている人
- テック集中というギャンブルの中に、8年超の実績という名の安心感を求めたい人
- M7以外の尖った銘柄(NetflixやBroadcomなど)の成長もつまみ食いしたい人
- 為替ヘッジありという心のブレーキを持っておきたい人
- 相場が停滞しても、コストでジリ貧にならない逆張り設計を愛せる人
ギガテック7が向いている人
- M7という限られた檻の中で、今最も狂暴な個体に全財産を託したい人
- 米国テック株はこれからも一方向に昇天し続けると夜も眠れないほど確信している人
- 月次リバランスの機動力に対し、0.77%+アルファの裏金を払う価値があると割り切れる人
- NISA成長投資枠という名の聖域を、ポートフォリオの刺激物として使いたい攻撃的な人
どちらも向いていない人
- コア資産として、老後のために穏やかな長期積立をしたい人(大人しくS&P500かオルカンを買って眠るべきだ)
- 集中投資のジェットコースターで、胃薬の消費量が跳ね上がる人
- なんか最近テックが流行ってるからという、綿菓子のようにふわっとした理由で買おうとしている人
ギガテック7とFANG+のどちらが偉いかという議論自体が不毛だ。これは性能の優劣ではなく、何の目的で、どの地獄に賭けるかで選ぶべき道具なのである。
S&P500信者の私が下す、2026年6月時点の結論
一通りのデータと比較を経て、私の評価は以下のようにアップデートされた。
相変わらず枕を高くして眠れない懸念点
- 純資産が繰上償還ラインの底を這っている:現在17.65億円。30億円の壁は依然としてエベレストのように高い。このまま資金流入が途絶えれば、ファンド自体が歴史の闇に葬り去られる。
- 隠れコストが未だに暗黒星雲:月次の売買コストがどれほど基準価額を蝕んでいるか、最初の運用報告書が出るまで我々は盲目でいるしかない。
- 往復ビンタへの脆弱性:5月の高騰から6月の急失速は、モメンタム戦略がボックス相場で綺麗に往復ビンタを食らう構造であることを早くも証明してくれた。
一方で、認めざるを得ない新事実
- 一方向への瞬発力は本物:3月のどん底から5月の頂点まで+26.3%を叩き出した動きは、モメンタム戦略の破壊力を数字で黙らせるに十分だった。
- 感情を排した冷酷な選別:Tesla(テスラ)を窓際族にし、Microsoft(マイクロソフト)を4%にまで干す決断は、AIやアルゴリズムならではの冷徹さだ。愛着や未練で銘柄を握りしめてしまう人間には到底真似できない。
で、私自身がどうするかって?引き続き、高みの見物(静観)だ。NVIDIA(エヌビディア)もBroadcom(ブロードコム)も個別株で直接生身で保有している身としては、わざわざ0.77%の手数料を支払って、アセットマネジメントOneに綺麗なオブラートで包み直してもらう理由がどこにもない。この血みどろのデスゲームを安全な特等席から観察し続けることこそが、今の私に許された最もコストパフォーマンスの高いエンターテインメントだからだ。
……まあ、3月の設定直後の底値で買っておけば今頃小金持ちになれていた、という事実から必死に目を背けるための理論武装ではないか、と問われると非常に耳が痛いのだが。そこは深く追求しないでいただきたい。
ギガテック7 vs FANG+ まとめ|2026年6月時点の結論
- ギガテック7は勝ち馬に乗るモメンタム型、FANG+はみんな平等な均等配分型。思想が真逆だ
- 一方向に爆走する相場ならギガテック7の独壇場。3月→5月で+26.3%のロケットスタートを実証した
- もたつく相場や調整局面ならFANG+が傷が浅い。6月の失速はまさにその教訓だ
- 純資産は17.65億円。生き残りラインの30億円には一度も届いていない絶滅危惧種
- 歴史と安定コストを積むならFANG+、スリルと瞬発力を買うならギガテック7
- どちらにせよ、全財産を賭けるような代物ではなく、人生のスパイスとして楽しむサテライト枠の商品だ
(出典:アセットマネジメントOne マンスリーレポート2026年5月29日基準・公式サイトより)
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