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米国株・ETF・投資信託で資産を育てる合理主義投資ブログ。低コストという名の餌で巨大な鯨へ育てる観測日記。

HBMXとは?DRAMとの違いを徹底比較【2026年7月更新】

DRAM ETFが世界最速ペースで資金を吸い込み、投資家たちが熱狂の渦に巻き込まれていた2026年6月。その狂騒の陰で、ひっそりと、まるで誰にも気づかれないように米国市場へ上場したもう一本のメモリETFがある。HBMX、正式名称「Tuttle Capital Concentrated Memory Stack ETF」だ。

先に種明かしをしておくと、HBMXは2026年7月時点でも日本の証券会社では一切購入できない。つまりこの記事は買うか買わないかの損得勘定ではなく、解禁を待つ価値があるのかどうかを見極めるための偵察記事だ。

同じメモリETFという括りに放り込まれがちだが、DRAMとHBMXは設計思想の違いからして水と油である。私のシニカルな視点を交えつつ、7月8日時点の実データで丸裸にしてみよう。

※本記事は2026年7月8日時点のデータに更新済み(純資産・組入銘柄・株価推移を反映)

→ DRAMの基本についてはDRAM ETFはどこで買える?楽天・マネックスも解禁で全6社対応で整理している。

DRAM ETFとHBMX ETFを対比した図解。左側にDRAM ETFとしてメモリチップと韓国・米国・台湾の国旗、「メモリ製造に直接ベット!」のテキスト。右側にHBMX ETFとして製造装置のロボットアームと日本・米国・イスラエルの国旗、「サプライチェーン・装置へ分散!」のテキスト。中央に「2つのメモリETF、その正体は?」「DRAM vs HBMX 設計思想から丸裸に」と記載。

HBMXとは?基本スペックを確認する

HBMXは米国Tuttle Capital Managementが設定したアクティブ運用ETFだ。正式名称は「Tuttle Capital Concentrated Memory Stack ETF」、2026年6月2日にCboe BZX取引所へ上場した。同社はフォトニクスETFのFOTOなども手がけており、テーマ特化型ETFを次々と打ち出すことで知られる、ある意味で尖った発行体である。

項目 内容
ティッカー HBMX
運用方針 アクティブ運用(メモリ関連売上25%以上の企業に投資)
運用会社 Tuttle Capital Management
経費率 0.95%
純資産総額(AUM) 約3,351万ドル・約53億円(2026年7月8日時点)
設定日 2026年6月2日

経費率0.95%……ふむ、なかなか強気な数字だ。DRAMの0.65%と比べても約1.5倍のコストをむしり取られる計算になる。テーマETFにコスト感覚を持ち込むなという反論は聞こえてきそうだが、それでも年1%近い出費は私のささやかなリターンを確実に削りにくる。

ちなみに2026年6月30日時点の月次データでは、設定来リターンはNAVベースで+25.03%、市場価格ベースで+24.92%とすでに大きく上昇していた。上場から1ヶ月足らずでこの数字なら悪くない滑り出しだったわけだが、後述する7月の急落でこの含み益もだいぶ目減りしているはずだ。1年リターンのような時間を要する指標は当然まだ存在しない。

表に乗せきれなかった細かいデータ(2026年7月8日時点)
・発行済口数:約130万口。6月18日時点の73万口から7月7日には約139万口まで積み上がったが、直近ではやや減少に転じている
・30日中央値スプレッド:0.27%
・保有銘柄数:24銘柄
スプレッド0.27%は取引のたびにじわじわ効いてくる隠れコストだ。純資産がまだ薄いETFほど、この数字は軽視できない。

メモリETFが2本になったぞという前に、経費率0.95%という数字をもう一度よく見てほしい。あの優等生VOOの約47倍もの維持費がかかるのだ。尖ったテーマには尖り税がつきものだが、これは私の薄い利益に深々と刺さりすぎる。おまけに30日スプレッドの0.27%も、取引のたびにボディブローのようにじわじわ効いてくる痛い仕様だ。

HBMXの組入銘柄はDRAMと何が違うのか

ここが最大のツッコミどころだ。DRAMがメモリ製造3強(三星・SKハイニクス・マイクロン)に73%集中という偏執狂的な設計であるのに対し、HBMXはまったく正反対のアプローチを取っている。

収益基準の違い

  DRAM HBMX
収益基準 メモリ売上50%以上 メモリ関連売上25%以上
銘柄数 9銘柄 24銘柄
韓国・台湾上場株 スワップで間接保有 直接投資しない(ADR経由のみ)
三星・SKハイニクス 上位保有(合計約49%) 組入なし

HBMXの基準閾値は25%と低く設定されており、結果として銘柄数は24まで膨れ上がっている。DRAMがメモリ製造売上50%以上のエリートしか入れない高級クラブだとしたら、HBMXは売上25%? ちょっとでもメモリに関わってるね! ならウェルカムだ!という、間口の広すぎる大衆居酒屋だ。さらに驚くべきことに、韓国・台湾上場株への直接投資を避けた結果、DRAMが愛してやまない三星・SKハイニクスというメモリツートップの姿が、HBMXには影も形もない。

2026年7月8日時点の組入トップ10

順位 銘柄 比率 コメント
1 オント・イノベーション(ONTO) 9.01% 半導体検査・計測装置。前回9.10%からわずかに低下も、貫禄の首位キープ
2 マイクロン(MU) 8.42% 唯一のメモリ製造直接プレイヤーとして2位を死守。8.62%からじりじり比率が縮小
3 ペンギン・ソリューションズ(PENG) 7.87% 5位から3位へ急浮上。HBMメモリモジュール・AI向けストレージへの評価が高まった格好
4 アドバンテスト(ATEYY) 7.72% 半導体テスター世界最大手(日本)。ADR経由で比率がわずかに増加
5 アプライド・マテリアルズ(AMAT) 7.39% 3位から5位に後退。装置株の中でも明暗が分かれている
6 エーエスエムエル(ASML) 6.00% EUVリソグラフィ装置の事実上の独占企業。6.12%からわずかに比率低下
7 ラムリサーチ(LRCX) 5.61% エッチング装置。5.81%からじわり縮小
8 アムコア・テクノロジー(AMKR) 5.22% 半導体パッケージング・テスト受託。5.25%からほぼ横ばい
9 サンディスク(SNDK) 4.80% NAND型フラッシュメモリ。4.70%からわずかに上昇し、10位から9位に浮上
10 キャムテック(CAMT) 4.67% AOI検査装置(イスラエル)。4.77%からじわり後退し9位から10位に

残り14銘柄は0.03%〜4.3%台で、シリコン・モーション・ランバス・KLA・ノバ・ディスコ・東京エレクトロン・ビーコ・ウエスタンデジタル・フォームファクター・キオクシア・シーゲイト・エバースピンといった面々に加え、政府系MMFのFGXXXと若干の現金が続く。アドバンテストやディスコ、東京エレクトロンといった見慣れた日本株がADR経由で紛れ込んでいるのも面白い。

米国ETFを買っているはずなのに、なぜか遠回りして日本企業に投資しているという、マトリョーシカのような奇妙な感覚を味わえる設計だ。これらの銘柄を円建て・東証で直接持ちたい場合は、グローバルX半導体関連-日本株式ETF(2644)という選択肢もある。

気になったポイント
6月時点では現金・その他資産が合計約14%と、資金流入に運用が追いついていない様子が見て取れた。しかし7月8日時点では政府系MMFのFGXXX0.83%とCash&Other0.03%を合わせても約0.86%まで低下している。上場から1ヶ月余りで新興ETFにありがちな消化不良フェーズを早くも脱し、ほぼフルインベストメント状態に入ったとみられる。

リストを一瞥して気づくだろう。上位に居座っているのはメモリを作る企業ではなく、メモリ作りを支える裏方だ。装置、検査、パッケージング……ゴールドラッシュにおいて自ら金を掘るのではなく、スコップを売っている連中である。

しかも7月時点では、唯一の直接プレイヤーだったマイクロン(8.42%)すら、検査装置のオント・イノベーション(9.01%)に首位の座を明け渡したままだ。スコップ屋がついに金掘り屋を追い抜いたわけだ。末尾には次世代の磁気抵抗メモリ専業企業エバースピンまで拾い上げているあたり、ウチはただのDRAM ETFとは違うんでというHBMX側の密かなドヤ顔が透けて見える。

一言で言うと
DRAMはメモリ製造という泥臭い戦場への直接ベット。HBMXは、その戦場を取り囲むサプライチェーン全体へのふわっとした分散投資だ。同じメモリETFと名乗ってはいるが、中身はまったくの別物だと思ったほうがいい。

HBMXとDRAMの比較:どちらを選ぶか

  DRAM HBMX
上場日 2026/4/2 2026/6/2
経費率 0.65% 0.95%
純資産(7月時点) 約242.78億ドル(7/7時点) 約3,351万ドル(7/8時点)
銘柄数 9銘柄 24銘柄
集中度 上位3社で約73% 上位3銘柄で約25%
韓国・台湾株 あり(スワップ経由) なし(ADRのみ)
メモリ製造への純度 高い(50%基準) 低め(25%基準)
30日中央値スプレッド 非公表(流動性高) 0.27%
流動性リスク 低い(AUM巨大) 高い(AUM小さい)

純資産(AUM)の圧倒的な差を見てほしい。現時点で約724倍だ。DRAMが札束で殴り合う巨大な化け物だとしたら、HBMXはまだ産声を上げたばかりのヒヨコである。流動性というリングに上がれば、DRAMのワンパンKOだ。スプレッド0.27%という見えないコストも、私のささやかな投資資金を容赦なく削り取っていく。

とはいえ、韓国ウォン連動や特定3社への極端な集中を嫌うリスクアレルギーの投資家にとっては、サプライチェーン全体に分散するHBMXの思想が刺さる余地はあるかもしれない。DRAMの偏りがどうしても胃に悪いという人向けの、マイルドな胃薬として機能しうる……というのが正直な評価だ。

HBMXは日本の証券会社で買える?総評

で、肝心の日本では買えるのかという問題だが、2026年7月8日現在も、SBI証券・楽天証券・マネックス証券を含め、どの証券会社も沈黙を貫いている。上場から1ヶ月余りのマイナーETFにまで、日本の証券会社の担当者はまだ手が回っていないのだろう。DRAMの時のように、一部の投資家の熱狂が証券会社を動かせば解禁されるかもしれないが、この規模のAUMでは優先順位が後回しにされる可能性も大いにある。私の口座画面を開いてHBMXを検索しても、今は無情なエラー画面が返ってくるだけだ。

→ 先輩格であるDRAM ETFの取扱い証券会社と購入方法については、DRAM ETFはどこで買える?楽天・マネックスも解禁で全6社対応で整理してある。

米国ETFを初めて買う場合の確認事項
米国ETFの購入には外国株取引口座が必要だ。日本株口座だけで戦おうとしても門前払いされるため、アプリ内でポチッと追加申請をしておこう。購入は米ドル建てなので、円からの両替か外貨入金も事前に済ませておくのが合理的だ。

と、ここまで訳知り顔で語ってきたが、7月7日時点でHBMXは前日比-6.90%の24.66ドルまで沈んだ。52週安値の23.85ドルまであと一歩の距離だ。純資産が7日の約3,677万ドルから8日には約3,351万ドルへと目減りしているのも、この価格下落と口数のやや減少が響いた形だろう。

ただし溜飲を下げるのはまだ早い。同じ日、あのDRAMも-6.44%の60.59ドルまで叩き売られている。つまりこれはHBMX固有というより、メモリセクター全体がまとめて売られた日だった。

皮肉なことに、規模もコンセプトも正反対の2本が同じ日に同じ方向へ沈むあたり、結局のところメモリという看板がついていれば道連れにされる運命なのかもしれない。それでも設定来で見ればNAVベース+25.03%(6月30日時点)というリターンはまだ大きくプラス圏内にあり、1ヶ月強でこの水準を叩き出したこと自体は素直に評価していい。

結論を言おう。現時点で、私がDRAMの代わりにHBMXを選ぶ積極的な理由は、見当たらない。いや、そもそも日本からは買えない。

ただし、どうしても三星やSKハイニクスを避けたい、泥まみれで金を掘るより綺麗な服を着てスコップを売る側に賭けたいという信念がある、ひねくれ……いや、哲学を持った投資家であれば、HBMXという選択肢が意味を持つかもしれない。もっとも、日本ではまだ買えないのだから、今はただ画面の向こうのアメリカ市場を眺めながら、熱いお茶でも啜って静観するのが最も合理的な判断である。

HBMXの注意点
・経費率0.95%はDRAMより高く、テーマETFとしても強気すぎる水準
・純資産約3,351万ドル(7/8時点)はDRAMの724分の1程度と貧弱で、直近ではむしろ目減り傾向。30日スプレッド0.27%の流動性リスクも痛い
・メモリ製造企業への純度が低く、実態は製造装置・検査ETFに近い
・上場から1ヶ月余りのペーペーであり、トラックレコードは皆無
・DRAMの主役である三星・SKハイニクスは完全にハブられている

純資産が1日で300万ドル以上溶けるのを見て、これが「まだ買えない国のETF」でよかったと胸を撫で下ろしている自分がいる。買えないものを分析して悦に入るのは、投資というより趣味の領域である。

口座をまだ持っていない場合は以下から開設できる。強制はしない。

まとめ:HBMX

  • Tuttle Capitalが2026年6月2日にひっそり上場させたメモリ特化アクティブETF。設定来リターンはNAVベースで+25.03%(6月30日時点)
  • 経費率0.95%と高く、純資産は約3,351万ドル(7/8時点)とDRAMの724分の1程度。7日から8日にかけてむしろ目減りしている
  • メモリ売上25%以上なら誰でも歓迎。DRAMのエリート主義(50%)とは対極のゆるさで、保有銘柄は24銘柄
  • 7月8日時点で組入首位はオント・イノベーション(9.01%)、2位マイクロン(8.42%)、3位はペンギン・ソリューションズが急浮上
  • 中身は製造装置・検査・パッケージング企業が中心。三星・SKハイニクスは出禁状態
  • 現金比率は6月の約14%から7月8日時点で約0.86%まで低下し、ほぼフルインベストメント状態に
  • 7/7にはHBMX・DRAMともに6%超の急落。メモリセクター全体が同日に売られた形で、HBMX固有の欠陥ではない
  • 日本の証券会社では未対応、NISA成長投資枠の対象にもなっていない(2026年7月時点)。解禁を祈りながら待機せよ