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米国株・ETF・投資信託で資産を育てる合理主義投資ブログ。低コストという名の餌で巨大な鯨へ育てる観測日記。

iFreeNEXT全世界半導体株インデックス徹底解説|サムスン不在の理由と信託報酬0.495%の評価【2026年】

iFreeNEXT全世界半導体株インデックス」とは、NYSE FactSet全世界半導体株インデックスに連動する投資信託だ。設定からまだ1年足らずだが、設定来リターンは+85.15%(2026年6月27日時点)と、出来すぎたロケットスタートを決めている。

だが、構成銘柄を眺めていて奇妙なことに気がついた。SKハイニクスはしっかり組み入れられているのに、メモリ世界トップシェアの巨頭、あのサムスン電子が綺麗さっぱり消え失せているのだ。

本記事では、基準価額や純資産総額などの基本スペックから、構成銘柄の偏った実態、サムスン不在のミステリー、経費率の評価、そしてNISA成長投資枠の対象かどうかまで、月次レポートの一次情報ベースで容赦なく解剖していく。

iFreeNEXT全世界半導体株インデックス徹底解剖:サムスン電子不在の謎と構成銘柄の偏り。NVIDIA・TSMC・Broadcom・ASML・SKハイニクスのロゴ、国別構成の円グラフ、信託報酬0.495%・NISA成長投資枠対象の情報をまとめたインフォグラフィック。

iFreeNEXT全世界半導体株インデックスとは?基本スペック

iFreeNEXT全世界半導体株インデックスは、大和アセットマネジメントが運用する投資信託で、NYSE FactSet全世界半導体株インデックス(配当込み、円ベース)への連動をめざすファンドだ。設定日は2025年7月29日。半導体テーマの狂騒の中で生まれた、まだ若いファンドである。

項目 内容
連動指数 NYSE FactSet 全世界半導体株インデックス(配当込み、円ベース)
運用会社 大和アセットマネジメント
設定日 2025年7月29日
純資産総額 327.41億円(2026年6月27日時点)
信託報酬(購入時手数料・留保額) 年率0.495%(税込)/購入時手数料・信託財産留保額なし
NISA成長投資枠・つみたて投資枠 成長投資枠対象(つみたて投資枠は対象外)

名前に冠された全世界の響きは美しい。米国上場企業に限定されがちなSOX指数とは違い、半導体製造から製造装置、ソフトウェアに至る約30の市場カテゴリーから、国籍を問わず半導体関連企業を拾い上げるという設計思想だ。

この指数で一番重要なポイント
単に半導体企業を寄せ集めるのではない。市場シェア(売上高の割合)、収益性(粗利率)、成長性(売上高成長率)の3つのフィルターにかけ、劣後する銘柄を容赦なく足切りする。半導体銘柄であることはただの入場券であり、その先には冷酷なオーディションが待っているのだ。なお1銘柄あたりの上限比率は定期見直し時35%に設定されており、リバランスは年4回行われる。

構成銘柄一覧|サムスン電子が組み入れられていない理由とは

月次レポート(2026年5月29日時点)の組入銘柄上位を抜粋する。

順位 銘柄 比率 コメント
1 エヌビディア(NVDA) 30.1% AI半導体の覇者。比率は前回よりやや低下
2 ブロードコム(AVGO) 14.7% AI用カスタムチップで静かに台頭
3 マイクロン(MU) 7.7% HBM需要の波に乗って躍進中
4 TSMC ADR(TSM) 7.5% 世界最大のファウンドリ。ADRと現地株で二重計上気味
5 SKハイニクス(000660) 6.4% HBMの勝者。サムスンを尻目に指数に居場所を確保
6 TSMC(2330) 5.8% 同じ会社が2つの上場先で別カウント
7 エーエスエムエル(ASML) 4.7% EUV露光装置の独占企業。半導体の生命線
8 ラムリサーチ(LRCX) 2.9% 米国の半導体製造装置大手
9 テキサスインスツルメンツ(TXN) 2.1% アナログ半導体の老舗
10 クアルコム(QCOM) 1.9% スマホ向けチップの定番

エヌビディア、ブロードコム、マイクロンのトップ3だけで52.5%。前回確認時(2025年7月)からエヌビディアの比率が少し下がり、マイクロンとSKハイニクスが躍進している。HBM(高帯域メモリ)の勝者たちが指数内で下克上を果たしているのがよくわかる。

そして、問題のサムスン電子だ。月次レポートの果て、比率0.0%の行まで目を皿のようにして探したが、影も形もなかった。本当にハブられているのだ。

韓国企業だから除外、という都市伝説の否定
指数の公式資料にはSKハイニクスが全世界を対象にする代表例としてドヤ顔で明記されている。お国柄で弾かれたわけではないことは明白だ。

サムスンが落選した理由は、前述の市場シェア・粗利率・売上高成長率の3基準のいずれかで他社に負けたと判定されたから、というのが現状把握できる事実から導ける最も筋の通った推論だ。スマホや白物家電まで抱え込む巨体ゆえに身動きが鈍り、肝心のHBMでSKハイニクスに遅れをとった現状を見れば、シビアな指数の計算式が今回は見送りでと判断したのも納得がいく。

とはいえ、指数提供元がサムスンは成長性が低いので外しましたと名指しで発表しているわけではない。あくまでルールの逆算から導き出される論理的推論であり、確定情報ではない。

敗者復活戦は年4回
この指数は年4回のリバランスで、勢いのある企業をすくい上げ、鈍化した企業を突き落とす。サムスンがHBMで本気を出して数字を叩き出せば、しれっと舞い戻ってくるシステムだ。冷酷だが、合理的である。メモリ株をもっと純粋に狙いたい場合は、DRAM ETFの方が目的に合う。

国・地域別構成:全世界の偏った実情

月次レポート(2026年5月29日時点)の国・地域別構成は以下の通り。

国・地域 比率
アメリカ 68.7%
台湾 13.8%
韓国 6.5%
オランダ 5.0%
日本 2.7%
中国 2.4%
ドイツ 0.5%
イギリス 0.4%
イスラエル 0.2%
スイス 0.2%

米国が約69%。実態は米国と愉快な仲間たちである。とはいえ、米国縛りのグローバルX半導体ETF(2243)などSOX指数連動ファンドとは異なり、台湾(TSMC)、韓国(SKハイニクス)、オランダ(ASML)という半導体バリューチェーンの急所を一つのパッケージで、しかも円建てで買える利便性は確かに評価できる。日本の半導体装置株(東エレ・アドバンテスト等)も2.7%ほど含まれている。

地味に中国が2.4%入っている点には留意したい。銘柄数だけで言えば20社ほどが並んでいる。米中の覇権争いやデリスティング(上場廃止)リスクといった地政学の火種をポートフォリオに抱え込むことになる点には、少しだけ眉に唾をつけておくべきだろう。

iFreeNEXTのパフォーマンス:設定来+85.15%という名の熱狂

期間別の騰落率は以下の通りだ(2026年6月27日時点)。

期間 騰落率
1ヵ月 +13.86%
3ヵ月 +45.78%
6ヵ月 +65.91%
設定来(約1年弱) +85.15%

設定から1年も経たずに+85%超。誰もが自分を投資の天才だと錯覚する、2025〜2026年のAI・半導体相場の追い風を全身に受けた結果だ。だが、急上昇したものは相場が反転すれば同じ速度で墜落するリスクを孕んでいる。実際、SOX指数が1日で-10%を記録した6月5日の夜のような局面では、このファンドも例外ではなかったはずだ。設定来のトラックレコードが短いため、暴落時の耐久力は完全に未知数だ。

月次レポート(2026年5月29日基準)のファンドマネージャーのコメントには、ビッグテックのAI投資継続や中東情勢の小康状態を理由にした業績相場継続の見立てと、金融政策への警戒感が入り混じっている。楽観と悲観を両方のせておくという、投資業界の伝統芸とも言える無難なコメントに、私は静かに頷くことしかできない。

信託報酬0.495%は高いのか安いのか:他ファンドとの比較

信託報酬は年率0.495%(税込)。テーマ型インデックスファンドとしては高くも安くもない、極めて標準的な水準だ。

ファンド 連動指数 信託報酬(税込)
iFreeNEXT 全世界半導体株インデックス NYSE FactSet 全世界半導体 0.495%
グローバルX半導体ETF(2243) SOX指数 0.4125%
グローバルX半導体関連-日本株ETF(2644) 独自指数(日本株) 0.649%

SOX指数連動の2243より0.08%高いが、非米国企業(TSMC・ASML・SKハイニクス等)をカバーする手間賃だと割り切れるかどうか、というところだ。一方でETFではなく投資信託形式なので、1円から積立設定できる点と、取引値を気にせずに済む点は投信の強みでもある。

ETFと投資信託、どちらが自分に合うか
コストを1円でも削りたいなら2243(ETF・0.4125%)。TSMCやASMLも含めた全方位の半導体バリューチェーンを円建て積立でまとめて持ちたいなら、このiFreeNEXTに一定の合理性がある。目的が違うので単純な優劣はつけにくいが、なんとなく全世界の方がよさそうという理由だけで選ぶのは危うい。上位3社で52%超という中身を見てから判断してほしい。

iFreeNEXT全世界半導体株インデックスの総評

名前の壮大さと中身の尖りのギャップを楽しめる人向けのファンドだ、というのが正直な評価だ。全世界という言葉から均等分散を期待すると裏切られるが、勝ちにいく銘柄を絞り込むという指数設計の合理性は評価できる。市場シェア・粗利率・成長率で毎年オーディションをかけ直し、負けた企業はサムスンだろうと容赦なく蹴り落とす。その冷酷さは、むしろ長期保有者にとって有利に働く可能性がある。

問題は若さだ。設定から1年未満。暴落の修羅場を一度も潜り抜けていない温室育ちのトラックレコードで判断するのは難しく、下落局面での基準価額の動きは完全に未知数だ。加えて上位3社で52%超という集中度は、エヌビディアが一時的に失速するだけでポートフォリオ全体に響く構造になっている。中国2.4%(約20銘柄)の地政学リスクも、気に入らない人は気に入らないだろう。

それでも、TSMCをADRと台湾株の双方で、ASMLをオランダ株で、SKハイニクスを韓国株で、まとめて円建て積立できる投信は現状これ以外にほぼ選択肢がない。SOX指数連動ファンドとの差別化点はそこだ。純粋なメモリ特化ならDRAM ETF、米国半導体に絞るなら2243、コストより網羅性を取るならこのファンド、という整理でだいたい判断はつく。

ちなみに私はまだ買っていない。純資産327億円という数字を眺めながら、少額だけ試してみようかと財布と相談中だ。相場が良い間だけ集まった資金かもしれないという疑念を拭えないまま、今日も指が止まっている。書いておきながら買わない、それが私のいつものスタイルである。

口座をまだ持っていない場合は以下から開設できる。強制はしない。

iFreeNEXT全世界半導体株インデックスまとめ

  • NYSE FactSet全世界半導体株インデックスに連動。2025年7月設定の若手で、まだ1年リターンのデータが存在しない。
  • 純資産総額327.41億円(2026年6月27日時点)、設定来リターン+85.15%(同日時点)。
  • 信託報酬0.495%(税込)。購入時手数料・信託財産留保額なし。
  • NVIDIA・Broadcom・Micronのトップ3で52%超の偏食ポートフォリオ(2026年5月末時点)。
  • SKハイニクスはスタメン入り(5位・6.4%)、サムスンとキオクシアはベンチ外。除外スクリーニングの結果と推測されるが公式確認はできていない。
  • 米国比率68.7%。全世界というより米国と重要な下請けたち。中国2.4%(約20銘柄)の地政学リスクは頭に入れておくこと。
  • NISA成長投資枠対象。つみたて投資枠は対象外。SBI証券・楽天証券・マネックス証券など主要ネット証券で購入可能。