期待値で鯨になる

米国株・ETF・投資信託で資産を育てる合理主義投資ブログ。低コストという名の餌で巨大な鯨へ育てる観測日記。

【実録】旧つみたてNISAで楽天VTIを1年積立後7年放置 → +298.61%(40万円→163万円超)

投資界隈には長期積立こそ正義という、念仏のような格言が存在する。

20年、30年とコツコツ積み上げた複利の雪だるまが、やがて老後の豊かな暮らしを約束してくれる。そんな話だ。理論上はおそらく正しいし、道徳の教科書に載せるなら満点の回答だろう。

だが、私が今回お見せするのは、そんな意識の高い美しい話ではない。ただの怠惰が生み出した放置の記録だ。

2018年、私は旧つみたてNISA口座を開設し、毎月33,333円を無心で積み立てた。期間にして約1年。その後はどうしたか? 何もしていない。息をするように積み立てをやめ、証券口座の存在ごと放置した。

その結果が、+298.61%という、なんだかシステムのバグを疑うような数字である。

※2026年4月12日時点で基準価額40,280円。念のため確認したが、やはり現実だった。

これは崇高な長期投資の成功譚ではない。売ったらもったいないという、私の拭いきれない貧乏性が生んだ喜劇だ。

旧つみたてNISAの呪縛|売るという選択肢を奪われた羊

旧NISAと新NISAの根本的な違い

旧つみたてNISAは、年間40万円、最大20年間の非課税枠が与えられるという制度だった。毎月の上限は33,333円。

この枠をきっちり使い切るのが最も合理的なゲームの攻略法だったため、私は素直にそれに従った。

現在の新NISAには売却すれば翌年に非課税枠が復活するという設計がある。

だから、利益が出たら利確して別のものを買う、という選択も思いつく。

しかし、旧NISAは違う。あいつには生涯非課税限度額(総枠)という概念がなかった。

「もったいない」が最強のロック機能になった理由

上限がないから積み立てれば積み立てるほどお得って考えで、私の中に売るという発想が湧いてこなかった。

せっかく手に入れた非課税枠を自ら捨てるなんて、合理主義を気取る私には耐えられない。相場がどうなろうともったいないからという極めて低次元な理由だけで、私はこのファンドを握りしめ続けた。

結果的に、それが最強の握力として機能したわけだ。

旧つみたてNISAは売却しても非課税枠が復活しない。一方、2024年から始まった新NISAは売却すると翌年に枠が復活する設計になっている。この違いが、長期保有のインセンティブを大きく左右する。

なぜ1年で積み立てをやめたのか|ただのコストへの執着

eMAXIS Slim S&P500という黒船の登場

では、なぜ1年足らずで楽天全米の積み立てをやめてしまったのか。挫折したわけでも、資金が尽きたわけでもない。

単に、信託報酬の安いファンドへと、あっさりと浮気しただけだ。

楽天全米(信託報酬0.162%)でせっせと積み立てていた2018年7月、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)という黒船が設定された。

さらに翌年にはSBI・V・S&P500インデックスファンドまで登場し、業界は血で血を洗う信託報酬の引き下げ競争に突入した。

0.01%の差を追いかけるインデックス投資家の性

インデックス投資家たるもの、コストへの執着は捨てられない。

0.01%でも安い方へ乗り換えるのが合理的な行動だ。だから、私は楽天全米を見限り、新しいファンドへ積み立て先を移した。

だが、前述の通り旧NISAで楽天全米を売却して、新しいファンドに買い直すなどという愚行は許されない。

結果として、楽天全米のポジションはかつて愛したファンドの残骸として、口座の片隅に静かに取り残されることになったのである。

コストを追いかけた結果、かつての主力ファンドを口座の片隅に放置するという、なんとも因果な話になった。

楽天・全米株式インデックスファンド(楽天VTI)を選んだ理由

2018年当時、楽天VTIは最有力候補だった

楽天・全米株式インデックスファンドは、2017年秋に設定された。

本家Vanguard社のVTIに連動し、S&P500の500銘柄だけでなく、米国市場のほぼ全域(約4,000銘柄)に分散投資できるという触れ込みで、当時の投資界隈を大いに沸かせた。

旧つみたてNISAが始まった2018年当時、これは間違いなく有力な選択肢のひとつだった。

「なんとなく良さそう」が正解だった事実

米国全体を丸ごと買える、しかも低コスト。これだけで飛びつく理由は十分だ。

当時の私が、アメリカの経済成長や中小型株のポテンシャルについてどこまで深く考察していたかは、正直怪しい。

おそらく「なんかみんなが良いって言ってるから」程度のミーハーな理由も多分に混ざっていただろう。

だが、結果的にその選択は間違っていなかった。投資において、時に運は知識を凌駕する。

旧つみたてNISAで楽天VTIを1年積立後に7年放置した結果、評価損益+298.61%(40万円が163万円超)になった実績を示すアイキャッチ画像

ほったらかしの実録|取得単価10,105円が40,280円になるまで

現在の保有状況を公開する

御託はこれくらいにして、現在の保有状況を公開しよう。数字は嘘をつかない。

項目 数値
ファンド名 楽天・全米株式インデックス・ファンド
保有口数 405,381口
平均取得単価 10,105円(1万口あたり)
現在の基準価額 40,280円(1万口あたり)
評価額 1,632,874円
評価損益 +1,223,237円
評価損益率 +298.61%

元本40万円が163万円超になった計算

取得単価10,105円が、今や40,280円である。約4倍だ。

私が投じたのは、旧NISAの年間上限である約40万円だけ。

それが現在163万円超になっている。元本に対して122万円以上の含み益が、何の努力もなく乗っかっている計算だ。

何度も言うが、私は何もしていない。ただ、売らなかっただけである。

投資の才能など存在しない|何もしないという最強の戦術

積み立て期間より「居座り続けた時間」が勝敗を決める

この輝かしい結果を見て、やはり長期積立は素晴らしい!と目を輝かせるのは少し待ってほしい。

私の場合、積み立てていた期間はたったの1年だ。20年でも30年でもない。

それでも+298.61%という数字を叩き出せたのは、積み立てた後の時間が効いているからだ。

どれだけ長く積み立てたかではなく、どれだけ長く市場に居座り続けたかが勝敗を分けたのである。

コツコツ積み立てることよりも、パニックになって売らないことの方が遥かに難しく、そして価値がある。

コロナショックでも売らなかった本当の理由

コロナショックで市場が血の海になった時も、インフレ懸念で株価が乱高下した時も、損切りすべきか、もう投資なんてやめるべきかという誘惑は常にあった。

しかし、私には売ったら枠が消えるという旧NISAの呪いと、特有の面倒くさがりな性格が備わっていた。(実際は売った銘柄もあった。ニッセイ)

それが完璧なブレーキとして機能したのだ。

122万円超の含み益は、市場を読み切った天才的なトレードの産物ではない。

売る理由も、売る気力もなかったという、消去法の勝利である。

ニッセイを売ったことだけは、今でも触れないでほしい。

今後どうするか|タイムカプセルは再び土の中へ

売るつもりは一切ない、その理由

さて、この163万円超をどうするか。結論から言えば、売るつもりは一切ない。

理由は、積み立てをやめた当時から1ミリも変わっていない。売ったら非課税枠がもったいないからだ。

旧NISAの非課税期間は最長20年。まだ折り返し地点にも達していない。

このふざけた含み益を、税金という名の手数料を国にピンハネされることなく飼い殺しにできる期間が残っているうちは、利確する合理的な理由が見当たらない。

次の10年も、私は怠惰を信じる

今後の米国市場がどうなるかなど、私にわかるはずもない。

AIバブルが弾けて無惨な姿を晒すかもしれないし、さらに暴騰を続けるかもしれない。

だが、どちらに転ぼうとも私の取るべき行動は一つだ。

証券口座のログインパスワードを忘れ、ただ静かに放置を続けること。

+298.61%という数字は、行動しなかったことに対する市場からのご褒美だ。次の10年も、私は自らの怠惰を信じて、たぶん何もしない。

旧つみたてNISAの非課税期間は最長20年。2018年に積み立てた分の非課税期間は2037年末まで。期間終了後は課税口座へ移管されるため、出口戦略は早めに検討しておくことを推奨する。

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