期待値で鯨になる

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【2026年Q2決算】マイクロン(MU)が過去最高益|DRAM・NAND需要急増と半導体市況・株価見通し

マイクロン・テクノロジー(MU)2026年Q2決算分析。HBM3Eメモリによる爆益とAI金脈を27株ホルダーの視点で解説するブログアイキャッチ画像。

238億ドルの狂乱。その巨大な循環の片隅で、私の27株も静かに呼吸をしている。

朝のまぶしい日差しで目を覚まし、寝ぼけ眼をこすりながらスマートフォンの画面を覗き込む。すっかり夜が明けた米国市場の向こう側で、マイクロン・テクノロジー(MU)の2026年第2四半期決算がとっくに発表されていた。

真の投資家なら午前4時に起きてリアルタイムで見届けるべきだという声も聞こえてきそうだが、弱小投資家の私にとって、睡眠欲は相場への情熱をあっさりと凌駕する。私の証券口座の残高は常に風前の灯火、いわば恒常的デフレ状態にあるわけだが、私が呑気に夢を見ている間にも、世の中には金が有り余って仕方がない場所があるらしい。その一つが、現在の半導体メモリ市場だ。

結果から言おう。彼らの決算は、控えめに言って狂気の領域に足を踏み入れていた。

【30秒でわかるマイクロンQ2決算の要点】

売上高は前年比196%増の238.6億ドル、EPSは12.20ドルと市場予想を大幅に上回った。好調の主因は、AIサーバーに不可欠な高帯域幅メモリ(HBM3E)の爆発的需要と、競合他社を圧倒する歩留まり(良品率)の高さにある。2026年内のHBM供給分は既に完売しており、メモリ単価の上昇が利益を押し上げている状態だ。

マイクロン(MU)2026年Q2決算まとめ|売上・EPS・粗利益

まずは現実を直視するための数字を並べてみよう。数字は嘘をつかない。ただ、時として見る者の心を深く抉るだけである。

指標 2026年Q2 実績 Wall Street予想 乖離幅
売上高 $23.86B 約$19.2B +24.3%
調整後EPS $12.20 約$8.80 +38.6%
粗利益率 75.3% 約68% +7.3pt

売上高は前年同期比で驚異の196%増だ。私の資産が前年比でほぼ3倍になる確率と、明日私が歩いていて隕石に直撃される確率はどちらが高いだろうか。計算するまでもなく後者である。

主要指標である売上、粗利益率、EPS、フリーキャッシュフローのすべてが過去最高を更新するという、まさに我が世の春を謳歌している。粗利益率にいたっては75%を超えた。日々のスーパーの割引シールに一喜一憂している私のような人間からすれば、この数字はもはや芸術を通り越して、合法的な略奪にすら見える。

なぜマイクロンは「独走」状態なのか

背景にあるのは、生成AIやデータセンター用メモリの爆発的需要だ。今、業界で最も熱いのが高帯域幅メモリ(HBM3E)である。ここで注目すべきは、競合であるサムスン電子やSKハイニックスとの「実行力の差」だ。

マイクロンが提供する24GB 8段HBM3Eは、競合製品に比べて消費電力が約30%低い。この省電力性能が、熱対策に苦しむデータセンター運営者の心を掴んでいる。サムスンが次世代品のバリデーション(認証)に手こずっている間に、マイクロンは安定した歩留まりで製品を量産し、エヌビディア(NVDA)のサプライチェーンに深く食い込んだのだ。まさに、ライバルが準備運動をしている隙に、マイクロンはゴールテープを切ってしまったような状態である。

各事業セグメントの異常な伸び

  • ・クラウドメモリ(CMBU): 前期比+47%
    HBM3Eの利益貢献が凄まじい。もはやメモリはただの部品ではなく、AIの性能を左右する「戦略物資」と化した。
  • ・データセンター向け(サーバー): 前期比+139%
    AIサーバー用のメモリ消費は底が知れない。もはや全方位でバブルの様相を呈している。
  • ・モバイル/PC向け(MCBU): 前期比+81%
    デバイス側のAI化(オンデバイスAI)への期待と価格上昇が寄与している。
「需要の急増、供給不足、そして当社の高い実行力が相まって記録的な業績となった。AI時代において、メモリは戦略的資産になった」
— サンジェイ・メヘロートラCEO

経営陣のドヤ顔と、27株ホルダーの私

CEOのコメントは自信に満ち溢れている。取締役会もこれに応え、四半期配当を30%増額して1株0.15ドルにすると発表した。まるで企業の船が時化を乗り越えて、岸に灯台の光を捉えたかのような安堵感が漂う。

だが、ここで少しだけ私自身の話をさせてほしい。実のところ、私の証券口座の片隅には、マイクロンの株が27株だけ、ひっそりと鎮座している。巨大なクジラたちが100万株単位で泳ぎ回るこの市場において、27株など波間に漂うプランクトンのようなささやかなポジションだ。

しかし、これでも今回の記録的な宴の末席には、ちゃっかりと連なっているわけだ。配当金が増えれば、私の質素な夕食に一品、あるいはビールの一缶くらいは追加できるかもしれない。そう思うと、この合理性のカケラもない微益すらも、少し愛おしく感じてしまうから不思議なものだ。

今後の見通しと、捨てきれない「シニカルな懸念」

マイクロンが提示した次期ガイダンスは、売上高335億ドル、EPS19.15ドルという、さらにアクセルをベタ踏みしたような強気な内容だ。

結論:短期的には株価上昇トレンド継続の可能性が高いが、中長期ではメモリ市況の反転リスクに注意が必要だ。

理由はシンプルだ。メモリ産業は、歴史的に見れば救いようのないほどシクリカル(市況産業)だ。今はAI革命という美しい言葉で語られているが、巨額の設備投資は、需要がわずかに鈍化した瞬間に、巨大な負債の塊へと変貌する。

サムスンの反撃や米中の政治リスク、そして高すぎる期待値……。

嵐の後には必ず凪が来る。その時、この27株というプランクトンがどうなっているか、想像するだけで胃が痛む。

それでも、AIという名の巨大な津波がまだ引き潮に転じる気配はない。私はこの27株を握りしめ、すっかり冷めきったコーヒーをすすりながら、静かに明日の市場を見つめることにする。嵐の後には、新たな航路が見えてくるはずだから。

たとえそれが、私のボロ船をさらに翻弄するものであろうとも、期待値の波に乗り続けるしかないのだ。

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