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西松屋チェーン(7545)|子どもの口座で300株持つ親が、増収減益の数字を読む【2026年2月期決算】

西松屋の外観イメージ

子どもを引き連れて西松屋へ車を走らせるたび、「ふっ、私はここの株主だぞ」と心の中で謎のマウントをとっている。

もちろん声には出さない。出したところで、うさぎのマークが付いた服を握りしめる3歳の娘には1ミリも伝わらないからだ。

すっかり忘れていたが、西松屋チェーン(7545)の2026年2月期通期決算が2026年4月2日に発表された。(決して優待しか興味がないからではない……)

旧ジュニアNISAで5歳の息子と3歳の娘の口座に100株ずつ、そして自分の口座にも100株。

合計300株を握りしめる冷徹な親目線で、今回の決算数字を解剖していく。

西松屋チェーン(7545)とはどんな会社か

ベビー・子ども向け生活用品の専門チェーンだ。

マタニティから小学生までの衣料・雑貨・用品を、郊外型の無駄にだだっ広い店舗で暴力的なまでの低価格で提供するモデルで全国を制圧している。

2026年2月末時点で国内1,172店舗。

特徴は徹底したローコスト・オペレーションだ。煌びやかな広告は打たず、接客も最小限。「いらっしゃいませ」の圧もない。

とにかく安くて、陳列棚が高くて、通路が広い。

「どこに住んでいても車で20〜30分以内に西松屋がある」という恐るべき包囲網を敷いており、私のような地方で子育てをする世帯にとっては、もはや水道やガスに次ぐライフラインと言っていい。

西松屋は東証プライム上場(証券コード7545)。子ども用品に特化した専門小売チェーンとしては国内最大級の規模を誇る。少子化という絶対的な逆風の中でも、2025年6月には台湾子会社を設立し、ついに海外への侵攻も開始したたくましい企業だ。

2026年2月期決算|数字で読む増収減益の中身

まず結果から。

項目 2025年2月期(実績) 2026年2月期(会社予想) 2026年2月期(実績) 前期比
売上高 1,860億円 2,000億円 1,934億円 +3.9%
営業利益 122億円 136億円 99億円 -18.4%
経常利益 127億円 140億円 106億円 -16.5%
当期純利益 82億円 93億円 68億円 -16.5%
配当(年間) 31円 32円 32円 +1円
売上高・営業利益ともに会社予想を無残にも下回った。特に営業利益は予想136億円に対して実績99億円と、約27%もの大ブレーキ。売上は伸びたが利益が消し飛ぶ増収減益という結果は、押し寄せるコストの波を価格転嫁という防波堤で防ぎきれなかった痛ましい構造を如実に示している。

なぜ減益になったのか|コスト上昇という、安売りチェーンの宿命

西松屋のビジネスモデルの心臓部は圧倒的な低価格だ。

消費者への愛ゆえに値上げを渋るその姿勢は尊いが、裏を返せば、原価や経費が上がると利益がダイレクトに削られるというドMな体質でもある。

今期はまさに、その宿命が残酷なまでに数字へ表れた。

主な要因は3つ。

最低賃金の引き上げが直撃した人件費の増大、2024年問題も絡む物流コストの高騰、そして容赦ない円安による輸入コストの上昇だ。

店頭に並ぶ子ども服の多くは海外の工場で作られているため、円安は仕入れ原価の首を真綿で絞めるように押し上げる。

お店は賑わって売上は立つのに、手元にお金が残らないという、小売業が陥りがちな典型的なデススパイラに片足を突っ込んだ形だ。とはいえ、新規出店は当期61店舗と攻めの姿勢を崩していない。出店費用も利益を圧迫する重しの一つだが、これは未来の売上を刈り取るための種まきだ。単純に「コスト増=悪」と切り捨てるのは、長期投資家としては短絡的すぎる。

株主優待の内容と、300株保有者のリアルな受取額

西松屋の株主優待は、年2回(2月と8月20日時点)、保有株数に応じてチャージ済みの優待カードが送られてくるという、子育て世帯には現ナマ同然のありがたい制度だ。

さらに3年以上保有という忠誠心を誓った株主には、2月のみ「長期保有優遇」としてお小遣いが上積みされる。

制度 保有株数 優待額 実施回数
通常優待 100株以上 1,000円/回 年2回(2月・8月)
通常優待 500株以上 3,000円/回 年2回(2月・8月)
通常優待 1,000株以上 5,000円/回 年2回(2月・8月)
長期保有優遇(3年以上・2月のみ) 100株以上 +500円 年1回(2月のみ)
長期保有優遇(3年以上・2月のみ) 500株以上 +1,000円 年1回(2月のみ)
長期保有優遇(3年以上・2月のみ) 1,000株以上 +3,000円 年1回(2月のみ)

私の陣容は、3口座に100株ずつのフォーメーションだ。

旧ジュニアNISA時代に仕込んだ5歳の口座と自分の口座は、すでに長期保有の試練(3年以上継続・同一株主番号で7回以上連続記録)をクリアして上級国民入りを果たしているが、遅れて参戦した3歳の口座はまだヒラ会員(通常優待のみ)だ。

  • 通常優待:1,000円×2回×3口座=6,000円
  • 長期優遇(2月のみ):500円×2口座=1,000円
  • 合計:年間7,000円分
旧ジュニアNISAの恩恵で先に株主の座についた5歳の口座が、一足先に長期優遇の栄誉を手にした。3歳よ、世の中は先んずれば人を制すのだ、もう少し待て。家庭内格差は株主優待の受取額にも無慈悲に表れる。

保有株の含み益|3口座それぞれの現在地

直近株価2,000円(2026年5月22日時点)で計算すると、我が家の3口座の含み益はこんな具合になる。

口座 取得単価 株数 含み益 損益率
自分 1,348円 100株 +65,200円 +48.4%
子ども5歳 1,391円 100株 +60,900円 +43.8%
子ども3歳 1,620円 100株 +38,000円 +23.5%
合計 300株 +164,100円 +38.6%
3歳の娘の口座だけ含み益が露骨に薄い。単純に仕込んだ時期が遅く、取得単価が高くなってしまったからだ。当然だが、3歳児には何の責任もない。長期優遇の恩恵もなく、含み益も一番少ない我が娘。この数字の羅列を見るたび、妙に申し訳ない気持ちになるのが親という生き物の因果なところだ。

2027年2月期の見通し|増収増益への回帰を目指す

血を流した今期を経て、来期(2027年2月期)は意地の増収増益を見込んでいるようだ。

コスト上昇の猛威が吹き荒れる中でも、新規出店と既存店のリニューアル、そして利益率の高いプライベートブランド(PB)商品の拡充で、収益性を筋肉質に改善していくというシナリオを描いている。

さらに、台湾子会社の本格稼働という未知のカードが、来期以降どう化けるかが最大の注目ポイントだ。

忘れてならないのは、日本の少子化という西松屋にとっての致命的な構造的逆風だ。国内の子ども人口が右肩下がりで消滅していく中、既存市場のパイの奪い合いには自ずと限界が来る。海外展開や商品ラインの拡充など、どうやって生存領域を広げていくかが、中長期的な企業価値を左右するリトマス試験紙になる。

300株保有者として、売るか持ち続けるか

現時点での3口座合計の含み益は+164,100円、損益率は+38.6%。

利益確定の誘惑に駆られるには十分な水準だ。しかし、売る正当な理由が今のところ見当たらない。

子ども2人のジュニアNISA口座で眠る200株は、そもそも彼らが成人するまで、タイムカプセルのように放置する取り決めだ。

自分の口座の100株にしても、年2回優待カードがポストに投函される限りは、売るボタンを押す気にはなれない。

西松屋でオムツや泥だらけになるTシャツを買い続ける限り、この優待は家計の明確な防衛費となる。

今回の決算は、株主としては正直ため息の出る内容だった。

だが、業態そのものが否定されたわけではなく、コスト環境という外部要因の嵐に巻き込まれた結果だ。

合理主義者を自称する私としては、来期のV字回復シナリオのお手並みを拝見してから判断しても遅くはないと、鷹揚に構えている。

【まとめ|西松屋チェーン(7545)2026年2月期決算】
  • 売上高1,934億円(+3.9%)、営業利益99億円(-18.4%)の痛ましい増収減益
  • 会社予想(売上2,000億円・営業利益136億円)に対し、利益面で手痛い大幅未達
  • 減益の元凶は人件費・物流・円安。安売りモデルの宿命が残酷に数字を削った
  • 配当は前期比+1円の32円(意地の増配は死守)
  • 株主優待は年2回、100株で年間2,000円分。3年以上保有で2月分に500円のボーナス
  • 3口座合計300株の含み益は+164,100円(+38.6%)。3歳娘の口座だけ+23.5%と微妙に出遅れ中
  • 2027年2月期はV字回復の増収増益予想。少子化の逆風に立ち向かう台湾進出が鍵

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