期待値で鯨になる

米国株・ETF・投資信託で資産を育てる合理主義投資ブログ。低コストという名の餌で巨大な鯨へ育てる観測日記。

RAM ETFは危険?DRAM2倍レバレッジで上場2週間-49%の実例

ラウンドヒル T-REX 2X ロング DRAM デイリーターゲットETF、通称「RAM」は、半導体メモリー銘柄で構成されるDRAM ETFの値動きを日次2倍のレバレッジで増幅させる、ある意味で狂気の沙汰とも言える商品だ。

上場からわずか2週間しか経っていないのに、すでに高値から半値近くまで資産が溶けている。ただでさえ本家DRAMの含み損だけで胃袋の容量を使い果たしている私からすると、わざわざその痛みを2倍にして食らいにいくマゾヒスティックな発想がそもそも理解できない。

だが、理解できないなら数字で検証して納得するしかない。それが合理的な投資家(あるいはただの含み損を抱えた哀れな人間)の務めだ。

RAM ETF(DRAM 2倍レバレッジ型)、溶けて滴り落ちる「2X」のネオンサイン

RAM(ラウンドヒル T-REX 2X ロング DRAM デイリーターゲットETF)とは?基本スペック

RAMは個別の指数に連動するタイプのETFではない。同じラウンドヒル社が運用する「DRAM(ラウンドヒル メモリーETF)」という別のETFの、その日1日の値動きを200%に増幅させることだけを目的にしたアクティブ運用商品だ。ETFがETFの背中を追いかけて走るという入れ子構造をしている。

項目 内容
ティッカー RAM
運用方針 DRAM(ラウンドヒル メモリーETF)の日次パフォーマンスの200%を目標とするアクティブ運用
運用会社 REX Financial(ラウンドヒルとのブランド提携「T-REX」シリーズ)
経費率 総経費率1.50%(実質1.25%、2027年9月末まで期間限定の報酬減免)
純資産総額(AUM) 約7.16億ドル($715.78M)
設定日 2026年6月24日

「デイリーターゲット型」ってなに?
毎日その日の始値を基準にリセットされ、その1日だけ2倍を目指す仕組みだ。だから2週間持ち続けても、きれいに2倍の値動きにはならない。上がって下がってを繰り返すと、指数が行って来いでも資産だけがひっそりと削れていく。RAMはまだ生後2週間の赤ん坊なので、証券会社で52週高値・安値と表示されていても、それは実質的に上場からの全履歴とイコールである。

RAMの中身——個別株を持たないという潔さ

組み入れ銘柄トップ10、というお決まりの表は作れない。

RAMはスワップなどのデリバティブを駆使してDRAMの値動きを無理やり再現しているだけで、サムスンの株を何株買おうという発想自体が存在しないからだ。とはいえ、経済的な露出先という意味では、DRAMを構成する以下の企業群の顔ぶれがそのまま透けて見える。

順位 銘柄 比率 コメント
1 サムスン電子(005930) 非開示 スマホから家電まで何でも作る巨大帝国にしてDRAM界の絶対王者。
2 SKハイニックス(000660) 非開示 HBM(広帯域メモリー)でNVIDIAの波に乗り、一躍スターダムにのし上がった韓国の星。私の口座にはその恩恵が届かない。
3 マイクロン(MU) 非開示 米国が誇る唯一の総合メモリー専業。決算のたびに株価が乱高下し、胃粘膜を容赦なく削り取ってくるスリル担当。
4 キオクシアHD(285A) 非開示 旧・東芝メモリ。日の丸半導体の生き残りとして応援したい気持ちはあるが、NANDフラッシュ主力なのにDRAM ETFにいるのは大人の事情?。
5 サンディスク(SNDK) 非開示 SDカードでお馴染みの老舗ブランド。ウエスタンデジタルからスピンオフ。お前もNANDメインじゃないかというツッコミを待っているとしか思えない枠。

比率の開示はない。RAMが約束しているのはこの5社の詰め合わせがどうなろうと知ったことではない。私はただ、DRAMというETF1本の値動きを脳死で2倍にするだけだということだ。個別企業の決算の良し悪しに一喜一憂するような、繊細な投資家向けの商品ではない。

パフォーマンス:上場2週間で高値から半値近くまで溶けた実例

RAM(青、-30.22%)とDRAM(紫、-13.71%)の騰落率比較チャート。RAMがDRAMの約2倍の値幅で下落している




2026年7月7日終値でRAMは16.730、前日比-2.380(-12.45%)。上場来高値は33.110なので、そこからすでに約49.5%下落している計算になる。生まれてからの短い生涯のほとんどを下落に費やしている、なかなかの逸材だ。

項目 RAM
終値(2026/07/07) 16.730(前日比-12.45%)
上場来高値 33.110
上場来安値 15.290
高値からの下落率 約49.5%

DRAMとの比較——「2倍」という約束はどこまで守られるのか

同じ日、本家DRAMの終値は60.590、前日比-4.170(-6.44%)。単純に比率を出すと12.45÷6.44で約1.93倍。1日単位で見れば、文句を言えないレベルでほぼ約束通り2倍に近い動きをしている。

項目 RAM(2倍) DRAM(本家)
2026/07/07 騰落率 -12.45% -6.44%
上場来高値からの下落率 約49.5% 約25.5%
経費率 1.50%(実質1.25%) 公表値要確認

ところが上場来の累積で見ると、DRAMは高値から約25.5%の下落なのに対し、RAMは約49.5%。倍率にすると約1.94倍で、これまた1日単位の1.93倍とほぼ変わらない。今回はたまたま素直に2倍で溶けてくれたわけだが、これは相場がひたすら一方向に下がり続けたからにすぎない。

ここがポイント
デイリーターゲット型は上がって下がってを繰り返すレンジ相場だと、指数がトントンでも手元の資金は削れていく(ボラティリティドラッグ)。今回のRAMがほぼ理論通りの2倍で沈没したのは、下落トレンドが一切の迷いなく継続したという、ある意味で不運かつ綺麗な値動きの結果だ。レバレッジ型が長期保有に向いているという意味では断じてない。

見落としがちなリスク
運用会社自身が開示資料で明言している通り、仮にDRAMが1日で50%以上下落した場合、RAMは元本を丸ごと失う可能性がある。個別株の暴落とは次元の違う速度で資産が消し飛ぶ設計だということは、ポチる前に頭に叩き込んでおいたほうがいい。

RAMはどこで買える?証券会社別の取扱状況【2026年7月】

2026年7月6日現在、SBI証券とmoomoo証券の2社でしか買えない。

楽天証券、マネックス証券、松井証券の画面を開いて全裸待機していても、買えるのは本家DRAMのみだ。

同じ運用会社から生まれた兄弟だというのに、証券会社の対応にここまであからさまな格差が生まれるとは、まるで私の人生を見ているようで謎の親近感が湧く。

証券会社 RAMの取扱状況(2026年7月時点)
SBI証券 購入可能(2026年7月6日、フライング気味に取扱開始)
moomoo証券 購入可能(2026年7月6日、同じく前のめりで取扱開始)
楽天証券 取扱なし(DRAMのみでお茶を濁す)
マネックス証券 取扱なし(同上)
松井証券 取扱なし(同上)

本家DRAMはすでに主要ネット証券6社が出揃っているのに対し、RAMはまだSBI証券とmoomoo証券の2社どまりだ。

レバレッジ商品はどこの証券会社も横並びで飛びつくわけではなく、リスク説明周りの整備に時間差が出る。楽天証券・マネックス証券・松井証券で買いたい場合は、解禁を待つか、対応済みの2社で口座を作るかの二択になる。

口座をまだ持っていない場合は以下から開設できる。もちろん強制はしないし、睡眠時間を削りたい人だけどうぞ。

総評:RAMは買うなと言いたいが、需要はわかる

RAMは長期保有を前提にした商品ではない。運用会社自身が毎日ポートフォリオを監視できる知識のある投資家向けと親切に(あるいは責任逃れのために)書いている時点で、これは資産形成のツールではなく、値動きに賭けるためのただの道具だ。

半導体メモリー市況に強気な相場観があって、かつ数日単位でサクッと決着をつけるつもりがあるなら、まあ選択肢にはなる。ただしそれは投資というより、DRAMをチップ代わりに使ったショートタームのギャンブルに近い。メモリー3強に絞らず半導体セクター全体に広げて分散したいなら、そもそも別の商品を検討すべきだろう。

経費率1.50%(実質1.25%)も、長く持てば持つほどボディブローのように効いてくる重い設計だ。減免措置も2027年9月末までの期間限定で、その後どうなるかは運用会社次第。とはいえ、上場してまだ2週間のよくわからない商品にAUM700億円超が集まっているあたり、メモリー相場のボラティリティで脳内物質を出したい人が世の中にどれだけ多いかがよくわかる。

個人的な感想を言わせてもらうと、本家DRAMだけで十分に含み損の痛みを味わっている身としては、それをあえて2倍にして殴られたいという発想自体が理解の範疇を超えている。値動きが2倍になるということは、画面に表示される含み損の赤字も2倍のスピードで膨らむということだ。私にはそんな強靭なメンタルは持ち合わせていない。

今の時点でもDRAMの含み損をチェックするだけで毎晩胃薬が必要なのに、もしRAMなんて保有していたら間違いなく不眠症になる。レバレッジ型ETFとは、リターンの代わりに自分の睡眠時間を担保に入れる商品だと私は思っている。

まとめ
・RAMはDRAM(ラウンドヒル メモリーETF)の日次値動きを2倍に増幅させるアクティブ運用型ETF
・経費率は総経費率1.50%(実質1.25%、2027年9月末まで減免)、純資産総額は約7.16億ドル、2026年6月24日上場
・上場来高値からRAMは約49.5%、本家DRAMは約25.5%下落。比率は日次の理論値2倍とほぼ一致
・ただしこれは相場が一方向に素直に落ちた結果であり、レンジ相場ではボラティリティドラッグで資産が目減りする
・DRAMが1日で50%以上下落すれば元本が吹き飛ぶ可能性もあり、長期保有ではなく短期のトレーディング向け、あるいはスリルを求める人向けの商品