2026年5月8日、全国保証(7164)の通期決算が発表された。
結論から言う。
15期連続で過去最高益を更新した。
地味だ。徹底的に地味である。
SNSでも特に騒がないまま、粛々と最高益を叩き出している。
決算発表の瞬間も、本社では誰一人シャンパンなど開けず、静かに緑茶をすすっていたに違いない。そういう会社だ。だからこそ、いい。
私はこの会社の株を106株持っている。100株でも200株でもなく、106株だ。なぜ端数が6株なのか、自分でも全く思い出せない。私の記憶力は揮発性メモリのようだ。
証券口座を開くたび、「あ、そういえば106株だったな」と他人事のように感心している。
- 全国保証(7164)のビジネスモデル:地味さの王者
- 2026年3月期 通期決算:またしても予想を上回る
- 15期連続最高益という異常事態
- 株式分割後の配当と利回り:実績120円・来期予想123円
- 私の保有状況:106株の含み損益
- 27年3月期の見通しとリスク:思考停止は禁物
- 結論:106株のままで老後を迎えるのか

全国保証(7164)のビジネスモデル:地味さの王者
全国保証を知らない検索ユーザーのために説明すると、同社は住宅ローン保証の専業メーカーだ。
家を買う人間が住宅ローンを組むとき、銀行は「もしこいつが返済不能になったら誰がカネを返すんだ?」と疑心暗鬼になる。
そこで「私が肩代わりしますよ」と名乗り出るのが全国保証だ。
全国の金融機関と提携し、ローンの保証を引き受ける。
万が一焦げ付いたら代わりに払い(代位弁済)、後で債務者から回収する。
一度保証契約を結べば、ローン完済まで最長35年間、チャリンチャリンと保証料が落ちてくる。過去に積み上げた債務残高が勝手に稼いでくれるストック型ビジネスの極致だ。
新規の住宅購入者が減ろうが、過去の遺産で飯が食える。
決算が毎回無難なのも、株価の動きが地味なのも、この鉄壁のビジネスモデルのせいだ。退屈さには明確な理由がある。
2026年3月期 通期決算:またしても予想を上回る
5月8日に発表された通期決算の数字を見てみよう。
| 項目 | 26年3月期(実績) | 前期比 | 会社予想との比較 |
|---|---|---|---|
| 経常利益 | 465億円 | +4.6% | 予想451億円を14億円上回る |
| 営業利益 | 413億円 | ▲1.4% | ほぼ予想通り |
| 4Q経常利益(単体) | 205億円 | +7.2% | 最終コーナーで加速 |
| 年間配当(実績) | 120円(中間45円+期末75円) | 実質増配 | 期末を70円→75円に増額修正 |
経常利益は会社予想451億円に対し、465億円で着地。
14億円の上振れだ。
特筆すべきは最後の第4四半期で前年同期比7.2%増と加速している点だ。
長距離走の選手が、最後の100mだけ急にウサイン・ボルトになるような走り方である。
営業利益が1.4%減となっているが、これは与信関連費用(代位弁済の増加など)や人件費の増加が理由であり、本業の稼ぐ力が落ちたわけではない。
経常段階では有価証券の運用益などを含め、きっちり465億円に着地させている。
15期連続最高益という異常事態
少し冷静になって考えてほしい。
15期連続だ。
15年間、経常利益が一度も前年を割ることなく右肩上がりを続けている。
リーマンショックの傷跡が癒えた頃から数えて、東日本大震災、アベノミクス、コロナパンデミック、ウクライナ情勢、米国の歴史的利上げ、トランプ関税……。
世界が何度もひっくり返るような大騒ぎをしている間、全国保証はずっと静かに利益を積み上げていた。 安定という言葉では生ぬるい。
もはやある種のバグだ。
株式分割後の配当と利回り:実績120円・来期予想123円
2025年4月に1株から2株への株式分割を実施したため、数字の見た目が変わっている。頭を切り替えよう。
26年3月期の実績配当は年120円(中間45円+期末75円)で確定した。
期末配当は当初70円の予定だったが、3月16日に75円へ増額修正されており、5月8日の決算発表でも変更はなかった。
予想より上振れて終わった、というわけだ。
27年3月期の配当予想は年123円(中間50円+期末73円予定、前期比+3円)だ。
決して多くはない。しかし、何もしなくても毎年13,038円が降ってくる。ちょっといいランチに7回行ける金額だ。行かないけど。
取得単価2,693円ベースの配当利回りは、実績ベース(120円)で約4.46%、来期予想ベース(123円)で約4.57%。
普段はインデックス投資家を自称しているのに、個別株の配当金が入ると途端に不労所得の甘い汁に酔いしれる。一貫性のなさについては、深く追及しないでほしい。
私の保有状況:106株の含み損益
ありのままの数字を晒そう。 取得単価:2,693円
保有株数:106株
現在の株価:3,103円(5/9時点)
含み益:(3,103 - 2,693) × 106 = 約43,460円
含み益率:+15.2%
この銘柄に関して私の戦略がハマったという感覚は微塵もない。実は元々は株主優待のクオカード狙いで買った会社だった。株主優待は廃止となったものの、地味に安定している会社なので、売る理由がなかったから放置していたら、地味に増えていた。
ただそれだけだ。それが個別株投資のリアルな一面でもある。
27年3月期の見通しとリスク:思考停止は禁物
27年3月期の会社予想は経常利益472億円(前期比1.4%増)と、16期連続増益を見込んでいる。順調だが、リスクも整理しておこう。
・金利上昇が続けば住宅ローン需要が冷え込む可能性
・住宅価格が下落すれば担保価値が毀損し、代位弁済後の回収率が悪化する
・営業利益を圧迫しつつある与信関連費用の増加傾向
・保証債務残高の積み上げペースが鈍化すると中長期の成長に響く
現在は住宅価格が高騰しており、万が一代位弁済が発生しても家を売れば回収しやすいボーナスステージでもある。
不動産市況が反転した際の影響は頭の片隅に置いておくべきだ。
15期連続最高益だからといって、永久ホールドで絶対安心と思考停止するのは危険である。
結論:106株のままで老後を迎えるのか
・経常利益465億円(前期比+4.6%)、会社予想を14億円上回る
・狂気の15期連続過去最高益
・26年3月期実績配当は年120円(期末を75円に増額修正済み)
・27年3月期の配当予想は年123円(前期比+3円)
・取得単価2,693円ベースの来期予想配当利回りは約4.57%
・株価3,103円(5/9)、保有106株の含み益は約43,460円(+15.2%)
・リスクは金利動向と不動産市況の悪化による回収率低下
売る理由が見当たらない。
年4%超の配当をもらいながら、15期連続増益の企業を保有し続けるのは、極めて合理的な判断だ。
ただ一つ、106株という中途半端さだけが私の心の平穏を乱し続けている。
100株にスッキリ整理するか。
それともあと94株買い増して200株のキリの良い数字にするか。
いや、おそらく私は何も考えず、この謎の106株を抱えたまま老後を迎える気がしている。
全国保証は今日も静かだ。
誰の口の端にも上らない地味な事業で、しれっと最高益を更新し続ける。
投資において、これほど退屈で、これほど正しい正解はなかなかない。
地味な株を地味に持ち続ける。
それが素人投資家の最適な生存戦略であることを、この106株が証明してくれている。
※本記事は2026年5月9日時点の情報をもとに作成している。営業収益・当期純利益等の確定値は決算短信PDFで各自確認してほしい。投資判断は自己責任だ。なぜ106株なのかという自己への問いかけについても、自己責任である。
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